クロマグロ完全養殖とワシントン条約?

Date: Fri, 12 Mar 2010 05:59:43 +0900
 昨日の毎日新聞夕刊のクロマグロの記事http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/03/11/20100311k0000e040055000c.html
を読みましたか?【】環境の視点が全くない記事でした。

  1. クロマグロの完全養殖は、すぐに(10年以内に)天然資源に取って代わるとは思っていません。常識的に考えて、新たな技術と言うのは実用化段階で、技術自体、経済、環境、社会、文化の側面で想定外の問題に直面するものです。それを一つ一つ克服する過程が重要です。私は新技術に期待しますが、時間スケールと鳥瞰的判断が大切。
  2. 採算が取れたとしても、7kgのイワシから1kgのハマチを育てるのが環境に優しくない以上に、マグロ養殖はEcological Footprintの観点から、効率が悪すぎる。サバ【】の撒き餌でなくDry Pelletに移行しても、EFの観点からは大差ない。1万トン単位で養殖するのは勧められません。温暖化の排出量削減と同様、EFを下げると言うのは生物多様性条約(この言葉、一言もない)の重点項目です。
  3. 他方、天然魚の資源管理はすでに大西洋クロマグロでは手遅れ(CITESで禁輸決定が確定的)。次のCITESではミナミマグロ、それに太平洋クロマグロも取り上げられる可能性がある。2年後までに持続可能なマグロ漁業の展望を示すことが必要です。完全養殖の実用化では間に合わない。(もし間に合うなら、逆に、CITESに載せることは問題無しとなります。世界の環境団体は天然クロマグロの全面禁漁を主張するでしょう)
  4. クロマグロは嗜好品として、今より日本の消費量はずっと少なくてよいはずです。それくらいなら、完全養殖でも天然魚でも賄えるでしょうが、今重要なのは、太平洋クロマグロの資源管理です。大西洋クロマグロのCITES掲載留保など、孤立するだけです。

PS 以下、ご参考まで