沿岸と沖合の水産資源劣化の原因は区別すべきだ

Date: Tue, 06 Oct 2015 23:50:26 +0900
 沖合い域のマグロが減っているのが乱獲であることは論を待ちませんが、沿岸域となると、魚種によりますが、それが主要因とは限らないと思います。
 【】陸域からの栄養塩の流入は以前よりずっと少ないかもしれません。「きちんと評価」していないと叱られそうですが。「魚が減った理由は乱獲」とは必ずしもいえないと思います。よくある例は、別の要因で資源が減った後に以前と同じように執り続けて激減するということはあるかもしれませんが。(私が論文にした資源では、琵琶湖のセタシジミ、マイワシ太平洋系群です。前者は除草剤などの流出事故の大量死後に乱獲を続け、後者は4年連続の海況「不良」で資源が激減した自然変動の後に過剰な漁獲可能量を設定し続けた。)マイワシがさらに減り続けたのはともかく、セタシジミの例は漁業者だけのせいではないと私は思います。
 5年前に大西洋クロマグロワシントン条約附属書掲載を主張し、それに反対した日本政府を罵倒した人々が、今は大西洋クロマグロを資源管理の優等生のようにいい、太平洋クロマグロを批判している。当然ながら、もしある漁業を葬れば、それで困る人は漁業者だけではない。あまり極論に加担するのは考え物です。言っているほうは正義の味方のつもりだろうが。
 もちろん、太平洋クロマグロも日本ウナギもきわめて深刻です。【】マサバまき網漁業者に、マサバは資源管理が必要だと認めていただいたことです。20年遅れたが、ようやく資源がだいぶ回復した。正義の味方が自然を守るのではなく、持続可能な漁業を自ら担う漁業者を育てることが大切だと思っています。
 残念ながら、ウナギは、解決の方法が思いつきません。マグロはまだ何とかなるかもしれませんが。