北海道環境影響評価審議会の品格

Date: Sat, 28 Nov 2015 11:22:07 +0900
A(仮称)猿払村及び浜頓別町における風力発電事業計画段階環境配慮書およびB(仮称)石狩コミュニティウィンドファーム事業環境影響評価準備書に対する北海道環境【影響評価】審議会の意見について、下記の情報を拝見しました。
A審議会が、事業をやめさせるためにハードルを上げて経済的にできなくなるように持っていくという趣旨の発言があからさまに議事録に載っていること。
B低周波音の影響については専門家でも意見が分かれているという事業者の返答に対し、「この事業者は、人殺しをしても構いませんと言っている」という発言が議事録に掲載されていること。
 これらが、道知事意見に反映される審議会の議論として適当とは、私も思いません。
 環境影響評価は、事業者が実行可能な範囲において、環境影響を回避、低減、代償することを求めるものだと私は思います(環境省告示にはそのように書かれていると思います)。事業ができなくなるような指導をすることではないと思います。この制度に不満があるのはわかりますが、だからと言って、審議会委員がそれを逸脱してよいという理由にはなりません。
 結果として、事業者が事業を断念することはあり得ると思いますが、それをあからさまに意図した意見を述べるというのは、趣旨が違うと思います。
 低周波音の影響は、実証されたものではなく、「専門家の間で意見が分かれている」という事業者の回答だと読み取れますが、それが科学的に間違いとは思いません。この委員が専門家としてそのような確信を持っているとしても、定説ではないという事業者の返答に対して、「人殺し」というレッテル張りが適当とは思いません。たとえ定説でなくても、予防原則により配慮を求める仕組みはあります。しかし、それは実証された影響とは分けて考えるべきで【す】。
 議事録を見る限り、事業者側の答弁も不十分であるかに見える点もありますが、上記は、そのような趣旨の指摘ではなく、審議会としての役割を明白に逸脱しているように、私は思います。【】
 私は戦略環境評価(SEA)を否定しているのではありません。諸外国がそうであるようにSEAは事業採算性と環境影響との総合評価をしない限りあり得ないと言っているだけです。現在の配慮書がSEAに近づいたと思うのは幻想であり、事業者はますます本音を言えない状況になっている。そのような制度の中で、事業をやめさせるためにハードルを上げる審議会がある。
 【】風力発電は環境に優しい事業を目指したもので、本来、環境影響評価制度が定着するために最適な事業だったと思います。それが、内心どころか公然と事業をやめさせようとする意見が環境省自治体から次々につき、事業者も本音で議論できない状態になっているのは、大変不幸なことです。これでは環境影響評価制度は日本で定着しないし、気候変動政策を含めた日本の環境政策を大きく遅らせることになると思います。

A■26年度http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/assesshp/H26singikaikekka.htm にあるhttp://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/assesshp/singikai/H26_1_gijiroku.pdf のP37 のO委員の発言「行政的に辞めろということは絶対できない・・・どうやって辞めてもらおうかというと、・・・」
B■27年度http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/assesshp/H27singikaikekka.htm にあるhttp://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/assesshp/singikai/H27_5_gijiroku.pdf*1 のP13 のM委員の発言
低周波音の影響については専門家でも意見が分かれていますと書いてきたわけです。これを認めたら、アセスをする必要はないですよ。専門家の意見なんかは要らないと言っているのです。ですから、この事業者は、人殺しをしても構いませんと言っているわけですから、あなたたちは人殺しをするのですかということを分からせるようなことをちゃんと書くべきです。」

*1:2015.12.28 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ksk/assesshp/singikai/h27-5-gijiroku_1.pdfに移動し、表現が変わったようですね