クロマグロ捕獲枠をめぐる沿岸漁民の抗議

NZ先住民(マオリ)の法廷闘争を彷彿させる。
勝川俊雄さんのBLOG

NZ政府が抱えたもう一つの訴訟が、先住民である。マオリの伝統漁業は、漁獲枠の取得要件を満たしていなかったので、マオリには漁獲枠が配分されなかった。新しい法律を知らないマオリは今まで通り、魚を捕りに行き、逮捕された。マオリは自分たちの権利が侵害されたと感じたマオリは、NZ政府を訴えた。
ニュージーランドでは、先住民と移住者の間にワイタンギ条約という取り決めがある。これは1840年に、イギリス王冠と先住民の間で交わされたもので、先住民の土地に関する主権を認める内容になっている。この内容に照らし合わせれば、マオリの漁獲を白人が規制する権利は無いことになる。この裁判は、イギリスの連邦最高裁判所まで行き、「王冠の契約は絶対である」ということで、マオリが勝ったのである。これにより、NZ政府は莫大な賠償金をマオリに支払うことになった。結果として、漁獲枠を売却して得た政府の利益は吹っ飛んでしまった。マオリへの敗訴はNZ政府にとって大きな痛手となった。その後も対応に苦慮することになる。