議事録における氏名の公表。あとから規則を変えるのには反対しました

Date: Sun, 25 Oct 2015 12:04:02 +0900
 過去の議事要旨の全発言者名の開示については、私自身は保留します。「自由な発言を保証する」という趣旨を後から覆すことは筋が通らないと思います。【我々は助言機関であって】審査機関ではありませんが、【発言する際に議事要旨での】匿名が条件だったとすれば、【】後から名を出せという報道の圧力に屈するなど、絶対にあってはならないことです。

韓国も、TACにIQ制度導入を検討,日本の漁獲枠配分騒動の二の舞か

Date: Fri, 13 Jul 2018 09:30:40 +0900
【Nさん、情報感謝】
韓国も、TACにIQ制度導入を検討しているようだ。しかも、漁獲枠の割り当て方法は吟味不十分ともとれる報道だ。漁獲枠「不公正」も含めて、日本の後追いをするのだろうか。

IQ制導入検討すべき時期 韓国水産新聞2018/7/9Google翻訳を参考)
日本は最近、水産政策の改革のために用意した「農林水産業・地域の活力創出計画」を通じて、水産資源の効率的な管理のために近海漁業のIQ(Individual Quota)制を導入することにしたという。
私たちと同様に、TAC(総許容漁獲量)制度を実施しながらも、資源の枯渇に苦しんでいる日本は対象魚種を全体の漁獲量の80%水準まで拡大する一方、このようなTACは、「個別の割り当て」を原則とするというものである。・・・
その後、最後の2年間の年間漁獲量が100万トン以下に落ちる衝撃の中から抜け出せずにいる私たちの実像はどうか。・・・
 これと関連し、この間海洋水産部は日増しに減る水産資源管理のために、既存のTAC制度を大幅に強化するという基本方針の下、今月から来年6月末までの1年間適用するTAC施行計画を発表している。・・・
しかし、生産量が減少することに合わせて魚種別漁獲割当のみ減らしただけで、これによる管理を強化するための特別な手段や装置は全く見当たらない。ただ、政府の意志だけ込められた感性的な政策に、果たして水産資源が効率的に管理することができる突進に対して疑問を持たないことができないのが現実である。したがって今、私たちも水産先進国が徐々に導入を拡大しているIQ第などの新しい制度の導入を慎重に検討しなければならない時点ではないかと思う。・・・
もちろんそのためには、政府の膨大な準備作業と一緒に、何よりもその漁業の参加が優先前提なければならない。それでも、それに伴う副作用も少なくないだろうが自明な事実である。

日本の環境影響評価(EIA)が定着しないわけ

2018/7/9, 13:29
 【】省は,EIA対象事業の規模要件を緩和(大規模に限定)しようとしているように見えます。その気持ちもわかりますが,私は,第2種事業の範囲を大幅に広げると同時に,実際に簡易アセスで終わるものを増やせばよいと思います(現状では,第2種もほとんどフルアセスになっている)。なかなかハードルは厳しいですが,それしかないでしょう。

2018/7/9, 16:06
・多くの環境団体は,日本が諸外国から乖離しているということを,日本のEIA制度が事業者にとって都合の良いものと理解している。そのため,配慮書や事後評価など,より厳しい改革を行ってきたが,他方でより合理的にすることには向いていない。【環境省担当者も】EIAによって事業を中止させようとする自然保護団体の意を組むことを考え,下手な学校の校則のように,あれこれ厳しい注文を付けることに専念している。
・私の理解では,EIAはますます事業者にとって面倒くさいものに変わり,ますます,EIAを積極的に生かそうとはしなくなっている。EIAによって事業が止まることはない(事業者自身があきらめなければ)【ことが理解されていない】。環境保全措置に予算や労力がかかるというよりは,調査に費やす予算が増えるだけ,かつ,猛禽など限られたものに調査が偏るだけで,本当に環境影響の低減にすらつながっていない。
 環境省の考えが抜本的に変わらなければ,【日本の環境影響評価制度は】面倒くさくなることはあれ,合理的になることはないと思います。

【1980年設立のIAIA(国際影響評価学会)は、International Association for Impact Assessmentと称するように、環境という言葉は入っていない。多様なインパクトを配慮して意思決定するという考えだからという。その意味では,環境からSDGsあるいはESGという流れを先取りしていたと言える。日本の環境アセスメント学会も,名前を変えてはどうだろうか】

ダムの猛禽への影響は意外に少なかった

Date: Mon, 9 Jul 2018 06:19:51 +0900
【以下のような】根本的な問題提起,ありがとうございました。
 徳山ダムイヌワシクマタカについての事後調査は,以下のH25年の報告書が検索できました。
水資源機構 徳山ダム管理所(2013)徳山ダムにおける環境の保全− 希少猛禽類に関する調査結果と予測の評価.平成 25 年 7 月
 これでも,事後も巣立ちができていることは伺えます(P107-109,表4.2-2)【】
 最大堪水時には縄張りのかなりの部分が水没していますが,通常の満水時ではそれほどではないですね。(P118, 図4.2-2)縄張り内の餌量について,それなりにゆとりがある(が他個体を排除する)ということが伺えます。
 日本自然保護協会のサイトは,2000年以来,更新されていないようですね。
 結果として猛禽類には大きな影響がなかったとしても,彼らの立場からの見解(それでダム自体が正統化されるわけではないとか,手続きとしては大きな問題があったとか)は出せると思います。それに加えて,【ダムの環境影響評価で最も気を付けるべき対象種が,果たして猛禽かどうかなど,】今後の他事業の環境影響評価への教訓もたくさんあることでしょう。

ミナミマグロ国際裁判と資源管理

Sent: Monday, July 2, 2018 5:32 AM
 最近のミナミマグロ事情について,私の理解を申します。
 CCSBTは日本語も公用語?らしく,最新の文書が日本語でも入手できますね。「第22回科学委員会会合報告書」が詳細。まずは水産庁の「国際資源の現況」 にある以下の詳細版のP20-4図5をご覧ください。資源(産卵親魚量)は1990年頃まで減り続け,その後低位安定,2002-2007頃まで再び減り,その後回復しているという分析です。P20-5図8(あるいはCCSBT資料の図5がより鮮明)をみると,2001-2009まで,資源は低位(横軸がBMSY以下)なのに漁獲圧が過剰(縦軸がFMSY以上)になったという分析です。
 以下は古い記憶に基づきます。
 2020年までに1980年の資源量に回復という数値目標,日本は容易に達成すると主張して漁獲枠を増やし,国際裁判になりました。そのときに操業海域の資源量が回復基調なのは一致したが,操業海域以外でも資源が回復しているかどうかが論点でした。
 私たちの論文(Moriら2001)では,日本側の主張通りに回復しているとしても,そして当時の漁獲制限を継続したとしても,2020年目標は達成できないと予測しました。年齢構成の歪みから,親魚量が底を打った1993年生まれが成熟する2001年には親魚量増加が頭打ちになる(減る可能性すらある)。これを「逆ベビーブーム効果」と命名しました。2003年には,CCSBTも2020年目標は達成不可能という認識で一致し,目標の見直し作業が始まった。実際には漁獲量を増やし,かつ2007年頃には漁獲量の過少申告問題も起きました。その間資源は減ったようですが,2010年以後は緩やかな回復基調になったとされています。
 国際裁判当時,CCSBT参加の(豪州側の?)専門家ですら,年齢構成の歪みなど念頭になく,2020年目標は達成可能と思っていたようです。私の主張はCCSBT内に届けるべきものだったと思います。私は,ミナミマグロ絶滅危惧種に指定されたことで水研から相談を受けましたが(Matsuda et al. 1997),CCSBTに参加したことはありません。【】
 もっと私に社会発信力があれば,CCSBT以外の意見がいろいろな方に届いたかもしれませんが,CCSBTにまず届けるべきでした。

ESGと排外主義

Date: Fri, 6 Jul 2018 15:38:18 +0900
 【環境省のESG金融懇談会の資料】ありがとうございます。
 近年,投資側が企業の環境配慮と労働条件などの社会的配慮や責任等を評価して指標化し,その指標によって投資相手を選ぶ傾向があるわけですが,他の投資家が投資しないところには投資しないという傾向があるように感じます。それを見越して,環境団体などが企業批判を行うことが効果を持ち始めているように思います。
 単に,各投資家が自身の基準で投資先を選ぶならばよいのですが,他者が投資しないところへの投資にリスクがあるとすれば,このような指標は,ある規範を満たさぬものを排外するという「差別」の仕組みを持っていると感じました。差別もまた,自分の判断でなく,他人に差別される者に近づくのは危険であるという仕組みで増幅されます。評価指標が妥当ならばかまわないと思われるかもしれませんが,力学としては同じでしょう。そして,環境団体などの不買運動等はそのような排外活動と同じ構図になると思いました。環境規範は必ずしも普遍的でも絶対的なものでもないが,指標として採用されれば,大きな力を持つことになるでしょう。
 以前,福島原発事故の後で,福島県民の女性は放射能汚染のために結婚しないほうが良いと公言した環境団体のリーダーがいました。本人は科学的根拠があると信じているのでしょうが,環境団体の主張が差別と同じ仕組みを持っていることに無自覚であることは,危険であると思いました

水産資源管理も,温暖化懐疑論のような丁寧な議論が必要だ

5/16-17国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」いかがでしたか?議論はどうなりましたか?【】もろにSHUN批判なども載っていますが。これ,水研が企画したのですね。【水研が】多様な人を招くこと自体,時代の流れを感じます。意見の違いは違いとして,論点が整理されていればなおよいのだが…
Date: Tue, 26 Jun 2018 10:29:31 +0900
 丁寧な論点整理が必要ですね。【水産物】認証関連では,本来,そんなに難しくないはずです。マグロの漁業管理のほうがよほど生臭いはず。
 今,温暖化懐疑論論争を見ていますが,安井至さんは温暖化論者ですが,論点整理をやろうという意欲を感じます。
 『地球温暖化懐疑論批判東京大学 IR3S/TIGS叢書 も丁寧に見えます。
 かといって,今のIPCC報告に誇大宣伝がないかといえば,【】あるでしょう。その辺の冷静な意見が必要ですね。(今,内部では1.5度が本当に経済的に割に合うかを議論しています。【】我々は懐疑論者ではなく,温暖化対策を考えているグループです。念のため)

Date: Tue, 26 Jun 2018 16:34:25 +0900
【以下の温暖化懐疑論論争に関する安井至先生のBlog】は,クロマグロ問題をはじめとする,水産資源問題でも言えそうです。

C先生:これは、温暖化を全く知らない人がある講演会に出席したときの感想として聞いたのだが、...「この本の著者の反論が【温暖化懐疑論者】の言動の弱点を余りにも無遠慮に暴くような感じがして、感覚的に同意しにくい感触だった」、というのが感想だった。その人が言うには、「自分は科学的に正しいものがどれかを判断するだけの知識は無い」とのこと。まあ、やり過ぎは無意味な【第三者の】反発を招くということなのかもしれない。