10月6日 横浜国大生態リスクCOE公開講演会のおしらせ

Date: Wed, 28 Sep 2005 10:30:02 +0900
松田裕之です。
公開講演会を下記の日程で行います。
「気候変動に伴う植生帯移動モデルの構築」
講演者:佐藤永(さとう ひさし) 氏(地球環境フロンティア)
日 時:10月6日(木) 10時00分 〜 10時40分
場 所: 環境情報1号棟 515室(合同セミナー室)
 気候環境は植生の構造や機能を強く規定するが、植生の構造や機能もまた、蒸散、炭素循環、アルベドの変化などを通じて、気候環境にフィードバック的な影響を与える。このような過程を気候環境の変動予測に含めるためには、生物地理化学過程や植生動態を取り込んだ陸域生態系モデルが必要とされる。
 そこで我々は、陸上生態系の機能(炭素や水の循環など)や構造(植生の分布や構成など)における短期的・長期的変化を予測を可能とする全球動的植生モデル(Dynamic Global Vegetation Model, DGVM)を開発している。これは、異なる計算間隔を有する複数の素過程モジュールを結合したものであり、幾つかのモジュールを環境条件の関数とすることで、生態系の環境応答をシミュレートできるようにしたものである。
 このモデルの基本的なデザインは、既存のDGVMに準ずるものであるが、さらに林分の空間構造を明示的に組み込み、木本を個体ベースで扱うという野心的な拡張を行った。これらの拡張によって、森林ギャップの再生過程や樹木個体間の競争過程が的確に表現され、植生動態に伴う炭素収支変化や、気候変動に伴った植生分布変動の速度などを、これまで構築されてきたどのDGVMよりも正確に予測できることが期待される。
 現在このモデルによる試行計算を繰り返す事で、諸パラメーターの推定作業を行っており、平成16年度中までには全球グリッドでのシミュレーション結果を得る予定である。そしてモデルのパフォーマンスが十分に検証できた後には、人・自然・地球共生プロジェクト第2課題で開発中の地球統合モデルKISSME(Kyousei2 IntegratedSynergic System Model for the Earth-simulator)へ結合される予定である。(以上、地球環境フロンティアウェブサイトより)
 上記のように、地球環境フロンティアでは、地球シミュレータを駆使したさまざまな気候変動の予測モデルを陸海問わず開発しています。特に、全球グリッドでのシミュレーション結果を得る際に、地理情報システム(GIS)のデータを用いて、各グリッドの諸属性を抽出し、予測制度を高めることを検討しているそうです。(文責松田)