中西準子「環境リスク学」が第59回毎日出版文化賞に

皆さま
 中西準子さんの「環境リスク学」が優れた出版物の著編者、訳者、出版社を顕彰する第59回毎日出版文化賞(特別協力=大日本印刷株式会社)をめでたく受賞されたようです。他には以下のかたがたが受賞されたそうです。

 中西さんはいま、京都大学の松井三郎教授(原告代理人ダイオキシン国民会議事務局長の中下裕子さんら)に名誉既存問題で訴えられており、内分泌撹乱化学物質学会(環境ホルモン学会)森田昌敏会長は、この裁判で裁判長の命令が出れば、中西氏の謝罪広告を学会誌に掲載すると明言しています。
 中下さんは上記訴訟についてのプレスリリース(化学物質問題市民研究会のウェブサイト)の中で、訴状理由を二つあげ、その第2の理由として、

さらに、中西氏は、「環境ホルモン問題は終わった」と考えておられるようであるが、これは大変な間違いである。・・・中西氏のように、国の科学技術のあり方を決定する立場の人が、そのような誤った認識を持ち、その結果、国が政策決定を誤ることになれば、国民の健康や生態系に取り返しのつかない事態も招来しかねない。・・・松井氏は、研究者として、国民の一人として、中西氏のこのような誤りを断じて見過ごすことはできないものと考え、貴重な研究時間を割いて、敢えて本件提訴に踏み切った

と記していました(現在この記事は「環境ホルモン濫訴事件:中西応援団のサイト」でみることができます。なお、上記化学物質問題市民研究会のサイトにはしばらくの間、松井氏と中西氏の自宅住所を載せたままの本件訴状が掲載されていました)。この第2の訴状理由は純然たる学問論争です。
 そのような中で、まさに環境リスク学に関する中西さんの本に毎日出版文化賞を授与するというのは、たいへんな決断だと思います。私は、この裁判の理不尽さと、上記のような学問論争を裁判に訴えた原告と、その原告が所属する学問の自由の砦だった京都大学を大変残念に思っていました。
 私は京都大学出身ですが、私の学生時代ならば、論敵を国家権力によって裁かせようとする教員がいれば、紛争時代でなくても、学生自治会は黙っていなかったでしょう。
 私は「環境リスク学」を高く評価する書評を書いた者として、毎日新聞の英断を高く評価します。