漁業批判の本音は漁業と魚食の否定?

Date: Sat, 13 May 2006 10:24:53 +0900
【】 いつもお世話になります。
○○より、チャールズ・クローバー「飽食の海:世界からSUSHIが消える日」(岩波書店)の書評を依頼されました。原稿を書き上げましたので、添付します。何かお気づきの点がありましたら、日曜日までに、ご意見宜しくお願いします。
 書評にも書きましたが、この本を読み進めて、たいへん驚きました。この本を読めば、ますます日本の漁業者(特に、○○)は海洋保護区の設置などへの警戒感をあらわにするでしょう。国際捕鯨委員会でも、他の漁業では成り立たないくらい厳しい管理制度を科学委員会で合意したにも関わらず、総会で一旦拒否して科学委員会議長が辞任するという事件を経て、いまだにそれを実施せず、反捕鯨団体の狙いが、管理捕鯨ではなく、捕鯨の否定にあったことは既に明白となっています。
 他の漁業でも同じことだという警戒感は既にあります
。本書のように、あっさりと全面禁漁*1が解決法などと明記されている本が出るのは、管理された漁業を提案している私たちとしてもたいへん迷惑なことです。せめて、翻訳の際にそれに注意を喚起する立場から書いていただきたかったと思いますが、この本が欧米で高い評価を得ていることは事実であり、それを直視した取り組みが今後必要になるだろうと思います。
 来月はニューヨークでの国連海洋法条約非公式協議に参加し、その足でR.Myers博士(本書にもたびたび登場します)の招きでアイスランドのCensus of Marine Lifeの会議に出席します。いつも管理については【】厳しいことも申しますが、持続可能な漁業を守ることが私の本心ですので、その点、ご理解のほど、宜しくお願いします。
 【】否定的な原稿は困ると○○から苦情が出て、かなり手を加えられましたが、最低限、私の主張は書くことができたと思います。皆様、どうもありがとうございました。【】

*1:「魚がいかなる漁具にもさらされないようにすることである」(P247)