海洋基本計画への意見

Date: Tue, 2 Oct 2007 18:49:53 +0900
 水産学会では、急遽、水産政策委員会(黒倉委員長)を設置し、海洋基本法とその計画への
意見を集約しています。
 10.1に海洋基本法記念会議が開催され、各界の関係者が集まり、水産学会からも挨拶が
ありました(原稿公開予定)。その中で、以下のように「歴史的に振り返ってみると、水産学は、今では当然とされている、先駆的な概念をいろいろと生み出してきています。」と主張しました。 もう少したくさん、丁寧に列挙しようということになりました。
・MSY
・順応的管理
のほかに
排出権取引の先駆例としてのITQ
海洋生態系としては
・Trophic Cascade
・微生物ループ
なども入れてよいと思います。 ほかに何か気づいた概念がありましたら、教えてください。
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歴史的に振り返ってみると、漁業や水産業、それにかかわる学問である水産学は、今では当然とされている、先駆的な概念をいろいろと生み出してきています。
たとえば、どんな政策でも、政策を考える上で、Sustainability、持続性という概念は外せないと思います。これは、1987年の「環境と開発に関する世界委員会」、いわゆるブルントラント委員会で提起されたのに端を発しております。ブルントラントさんはノルウェーの元首相であり、捕鯨問題でも、現在のノルウェーのポジションを築き上げた方ですが、本日は、捕鯨の話ではなく、持続性の概念の成り立ちの方のお話です。この概念の先駆的なものは、水産資源学におけるMSY(Maximum sustainable yield)、最大維持漁獲量、資源の減少を招かない範囲での最大の漁獲量可能量だと思っています。MSY理論については現実の複雑な生態系や産業活動に適用する過程で、その有効性への疑念も含め、さまざまな知識や理論が蓄積されています。これらは、資源問題・環境問題の解決に有効に使えます。
また、昨今は、生物多様性条約で順応的管理という、不確実性に対処するための管理手法が推奨されていますが、これも水産資源管理において国際捕鯨委員会の科学者たちによって発展してきた概念です。