平成18年度第1回海域作業部会会合での松田の意見

日 時 : 平成18年7月21日 13:30〜
場 所 : 北海道庁別館 地下大会議室  (公式サイト) 
ロシア水域との関係 

  • 前回も議論したように、IUCN自身も隣接した生態系との類似性を指摘して、拡大することも検討するような書きぶりがあったと思います。それは、私自身はいいことだと思います。目的というのは、ある意味では抽象的な理念ですから、これは掲げておいた方がむしろ自然ではないかと思います。決して、独立したものではないということです。
  • ですから、何度も申し上げますように、ここは連続した生態系であるという認識を示すかどうかという問題であるということです。・・・ただ、それと、計画の目標以下の個別の具体的なところ、つまり、今後どういう状態におくことが望ましいかということを個別に書いていくというところの中で、それをどう書くかというのは、また別の問題であると思います。
  • 今、昨年の第4回の議事録を読んでいるのですけれども、ほとんど同じことを繰り返させていただきますが、これは漁組の方の意見ですけれども、スケトウが悪くなったときに、数値目標とか何とかその場だけで決められてもロシアとつながっています。【以後は】僕の表現ですが、ロシア問題はどうするのかと我々は率直に思うのです。ロシアの資源の利用度合いが捉え切れていない中で、海域内でかっちりやろうとしても、これは困るではないかということがあるわけです。そうすると、目的としては、全体像としてトータルにスケトウの資源を保全する、持続的利用を図っていくというような視点で見るという書き方をしていないと、これはうまくいかないということだと思うのです。その上で、もちろん、ロシアのTACをどうすると我々が決められないですから、次に、ここにできることをアクションプランとして言っていくということだと思うのです。
  • それで、目的のところからもそれを外してしまうと、これは個別だけの話になって、我々が、中だけで本当に全部解決しなければいけないという話になってしまうということの関係であろうと思います。

保全と持続可能な漁業の両立

  • そういう意味で、目的のところが、生態系の保全をすることだけが目的になっていて、漁業のことは何も書いていないのですけれども、ここはやっぱりいるのではないですか。
  • この順応的管理の言葉の使い方については、私は率直に言って不満があります。「とにかく、後から見直します」という以上の意味にはとれないです。
  • 順応的管理のお答えにはなりませんけれども、背景は削除するといいますか、内容は議事録で確認できることだと思います。それで、その中で、漁業者との約束が背景に入っていないのは、背景を書くのであれば、そういう意味ではおかしかったと思います。それは当然背景の一つであるということを踏まえて、背景というのは、海域管理計画に書かなくてもいいだろうという認識であると私は思っています。
  • まず、図2のところですけれども、確かに、皆さんご指摘のように、できれば食物網の絵を書いた方がいいのですが、どこまで書けるかということがあると思いますので、そこも踏まえながら、ある程度書けるところで書いた方がいいのかなと思います。例えば海鳥・海ワシの上に海せい哺乳類が乗っている意味があるのかということもかなり疑問ですし、人間が利用しているものはどれだということも含めて書くと。
  • 今、ご指摘がありましたように、指標種についても、指標種でないものまで一々本文に書かなくてもいいと思うのです。むしろ、種のリストは別に資料としてつけて、指標種として、これはこうだというふうに書いていけばいいのではないかと思います。
  • まず、海洋生態系はaだけですから、海洋環境だけでよろしいのではないかと思います。もちろん、広い意味ではプランクトンも海洋環境ですから、その方がおさまりがよろしいかと思います。それで、油汚染の入れ方ですけれども、去年の事件がなければ漂着ごみと一緒でもいいかもしれませんが、ああいう事件は今後も起き得るという気もしますし、やはり、もうちょっと重視した方がいいのではないかと思います。ですから、2として油汚染を入れて、漂流・漂着ごみを3にして、一つの項目にしてやられた方がいいのではないかと思います。

漁業自体が指標となる

  • 魚介類を水産資源としてだけ見るというふうにはならないのではないかと僕は思うのです。そこには、高次捕食者を支えている重要な餌資源であるということも、当然書いていいと思います。
  • もう一つは、今の全体のお話を聞いていると、一次生産力は全然モニターしないし、評価もしないのかと。やはり、海洋環境のところに、それは一つ要るのではないですか。どういう形で入れるかは検討が必要ですけれども、1番には一次生産力のようなものが何か要ると思います。
  • 話の途中で済みませんが、この3種だけを指標種として扱うというよりは、先ほどからのお話にもあると思うのですけれども、私の考え方としては、どちらかと言うと、漁業自身がモニターの対象だという意味では、漁獲物の組成などは細かく見るということも、入れるとしたらここに書いてもいいと思うのです。ただし、資源調査まで全部はできないので、そういうものはこの3種を重点的に行うというような形で書いたらいいのではないかと思います。
  • 表現としてはそうすることと、漁業の実態に対しては別添資料で、これだけ多様な漁種を捕っているのだと。だから、気持ちとしては、それが激減してサケ・マスだけに偏ってしまうというようになったら、これはちょっと危ないなという気持ちを含めてモニターをするということになると思うのです。これは、漁獲物としてずっとモニターしていると思いますので、できると思います。

トドは絶滅危惧種ではないのか?

  • 済みません。ちょっとよくわからなかったのですが、トドを絶滅危惧種と書かないで何と書くのですか。
  • 危急種は絶滅危惧種ではないのですか。普通、絶滅危惧種はⅠ類、Ⅱ類とありまして、Ⅱ類のことを普通は危急種と言うのです。それで、何でそれ【「絶滅危惧種」という表現】がいけないのかわかりませんし、水産庁自身は、今、水産データブック見直しをしている最中ですから……
  • もし、危急種と書くと、IUCNの定義と反するわけです。わざわざそういう論争を持ち込むようなことは書かない方が私はいいと思います。つまり、IUCNが認めているよりも低いランクにしか見ていないと明示することになります。
  • 別に【駆除】116頭はいいと思うのですけれども、わざわざそういう言葉を使うよりは、僕はシンプルにこのまま【絶滅危惧種という表現】で特に問題はないのではないかと思います。

指標種と管理方針

  • さっき指標種の話をしたときによくわからなかったのですけれども、要するに、ケイマフリは指標種で、ウミウオオセグロカモメとは指標種にはしないけれども載せたいということですね。それは、いなくなったら困るという意味で載せるということですか。
  • でしたら、今の議論を伺っていると、ここはウミネコは入れなくてもいいと。つまり、いついなくなるかわからないものであるし、いなくなったからといって特に対策をとるという対象ではない。だけど、ウミウオオセグロカモメは、いることが前提であろうという意味ですね。それで、ケイマフリに関しては、指標種としてもっと積極的にモニタリングし続けるという意味ですね。それだったら、このままでいいと思います。 
  • まず、調査、研究、モニタリングを同列に扱うのは科学委員会で議論されていると思うのですけれども、これは、それぞれが何のためにやるかというのがちょっと明確になっていないのではないかと思います。つまり、これは別表が資料2でありますけれども、全部永久にやるものという前提でやられているわけですね。ということは、海域管理計画をつくる上での認識を定めるためにやるというよりは、この管理がうまくいっているかどうかを常に検証するためにやっているという認識になっていると思うのですが、果たしてそうなのかというと、必ずしもそうでないものが含まれているのではないかと思います。

天然魚と孵化放流

  • 先ほどの管理計画の元に書いてあった見解は、割とすんなり受け入れられるのです。要するに、海洋生態系の健全性は天然魚で評価して、天然魚がこれ以上減らないようにすればいいわけです。それと、ふ化放流事業は持続可能な漁業を支えるために行われているということを書けばいいのではないですか。そういうふうに明確に分けて書けば、両方書いてあっても何も問題はないと思います。
  • そういう意味では、天然魚を守るということが全然書かれていないのですね。
  • 普通はそれ(天然魚を守るということ)が真っ先にほしいのに、これしか書いていないから、そういう話になるのです。