ある地域の自然再生的事業について

Date: Sun, 15 Jul 2007 07:41:51 +0900

  1. 関与する専門家(生態学者)がほとんどいないのが気になります。【】専門家なら人脈でより専門的な人の知恵を借りるものです(公園事業コンサルに助言する学者も人の意見を聞いていないかもしれませんが)。素人ほど一人で判断したがると言っても過言ではありません。
  2. 水田と休耕地【】をローテーションで回すというのは、合意された方法と【いうことですが】やはり変だと思います。(教科書には、水田の長所は畑と違って連作可能と書かれます)
  3. 事業への批判ばかり【強調されますが】、中身をよく聞くと、意見もすでに反映されており、よい方向に向かいつつあると思います。教育的に相手を褒めること、賛同できる部分は積極的に賛同するほうが、相手の妥協や協力を引き出すうえで有効だと思います。
  4. 1年間調査した結果が出る前に、評価方法(環境影響評価の方法書に相当するもの)を決めておくべきです。そうしないと、調査だけして、どんな結果でも予定通り事業再開となりかねません。
  5. 誰がどのように維持できるかを含めて、実現可能性を考慮した対案を考えるべきです。うかがった限り、事業者側も当初、水田を作ると言いながら担い手を議論していなかったとすれば、それを考慮しなかったのでしょう。事実とすれば、事業者としては合格点をあげられません。

 事業者を批判して向こうが修正案を考えてくれる場合はよいですが、自前で対案を示すのは大変です。それには土木や農業関係の専門家の知恵が必要でしょう。愛知万博のときには万博協会で計画にかかわった建築などの専門家の不満勢力と保護団体との連携(First Step Meeting)が成立しましたが、それでも、我々の望む対案は実現しませんでした。この点を安易に考えていると、せっかくよい方向に進んでも、落とし所が見つかりません。
 通常の専門家会議(や協議会)では予算の話まで出ないかもしれませんが、対案を実現させるならば、予算も含めて議論しなければなりません。
 全体として、かなり良い方向に向かいつつあると思いました。【】しかし、一般論としては、壊すより、そのあと作るほうが難しいものです。残念ながら、放置すればよいという単純な解で行政と合意するまでには、事態は進んでいないように思います。となれば、生態学者だけでなく、信頼できる土木や造園の専門家の意見も必要でしょう。