神奈川県遺伝子組換え農作物の専門部会での松田の発言(2)

第2回遺伝子組み換え農作物の交雑等の防止検討委員会専門部会(議事録)
日 時:平成19年8月24日(金)13:00〜15:00
場 所:かながわ県民センター特別会議室

松田委員 北海道も新潟県も、そういう意味で【安全基準を】2倍にしているわけではないのではないですかね。国の基準に比べて寒冷であるとか、生物学的な理由があって2倍にしているのに、ここで安心を理由に2倍にすると整合性が取れないのではないかと思います。逆に言えば、不安を与えるだけではないかと思います。

松田委員 そういう意味では全体的な議論になるのですが、このWTOパネルの報告を拝見して、ヨーロッパのやり方は、本来かなり参考にすべきところがあるのではないかと思います。
私の理解ですがここで議論されていることは、アメリカの方から自由貿易大義名分にしてとにかくGM作物をどんどん導入しろというのに対し、ヨーロッパは最初モラトリアムとかをいろいろ行って先延ばしして、ある意味ではやりたくないような態度でした。けれども、今の国際社会ではやりたくないからやらないということは全然通用しないのだという話です。
ですから、(ヨーロッパは)共存の政策とかそういうロジックを作って、いかにしてGM作物一辺倒みたいなことから守るかというロジックを一生懸命作ってきたという背景があると思います。その努力をちゃんとやらないと、この中だけあるいは県の中だけで合意しても国際社会では全然通用しないのでいずれひっくり返されていくわけです。そうならないロジックを作っていく必要があり、そういう視点で見ないと先行きがないという気がします。
むしろ遺伝子組み換えに反対する人ほど、そういうロジックをちゃんと準備しておく必要があるのではないかと思います。

松田委員 現実的にドイツで言われていたような連帯補償みたいなものは難しいでしょうね。任意の保険みたいなものならできるかも知れませんが、補償というのは無理ですよね。そうすると、どんな場合が考えられるでしょうか。発生源とか、責任者が特定できる場合ですか。順番にいくと、ヨーロッパの例を見ても風評被害とか不安で補償をするというのはほとんど無理ですよね。日本の法律でもこれは無理だと思います。例えばこぼれ落ちただけで補償というのは無理だと思うので、実際に畑に混入するとかそういうことが起きた時に、責任者が分かった場合補償するかどうかということですか。それは逆に補償制度が必要なのですか。

松田委員 ちゃんと届け出て、どこがどんなことをやっているかがチェックできる体制をきちんと作っておくという風にしておけば、もし本当に何か問題が起こった場合には、民事で賠償請求するとか可能になるはずなので(届出とか我々の提案がもし生きるのならば)。それ以外に補償を条例で定めるというのはかなり難しい気がします。
松田委員 一般論としては、トレーサビリティーとかどんどん高めるべきだと思いますが。いきなりここでこういう形で補償というのは現実的ではないのではないでしょうか。むしろ、トレーサビリティーが分かる体制や届出制を作っていくこと自身が大事なことだと思います。
松田委員 犯人が分か【る体制が】ないのに罰しろという【規定を作る】ことが安心ではないような気がします。