大成功!日中露オホーツク保全Consortium

hymatsuda2009-11-08

Date: Mon, 09 Nov 2009 01:03:20 +0900
皆さん
 本当に素晴らしいシンポジウムでした。「オホーツク海環境保全に向けた日中露の研究者による共同声明」が採択されて良かったです。感動しました。これも、白岩さん始め、このアムールプロジェクトのかたがたのご尽力の賜物です。
 私としても、PewFellowとしての研究計画が十分に果たされ(私の力ではありませんが)、報告書が書きやすくなりました。 アムールプロジェクトと知床科学委員会を兼ねる人間として、感動を共有できて光栄です。
 白岩さんの温厚かつ信念を成し遂げる行動力が、今回の成功を導いたことは、疑いありません。最後まで丁寧に対応され、とても良かったです。
 今年3月の日露専門家会合は、知床世界遺産の流れで、大泰司科学委員会座長と外務省、環境省が呼びかけましたが、その際にも今回のシンポジウムは大いに注目されました。一連の流れとして、このような大きな成果に結びつき、たいへんよかったとおもいます。
 私の講演に対して、いくつか批判をいただきました。答える機会がなかったので、この場でお答えします。

  1. 漁民と漁協を混同している =はい、直します。しかし、羅臼漁協が世界遺産と無関係に禁漁区を拡大したという漁協の見解は、私の分析(解釈)とは関係ありません。IUCNも、禁漁区拡大を受けて登録を認めたとは書いていません。私が説明したような解釈【海域保護強化を求めたIUCNに対して、唯一応えたのが漁協の禁漁区の自主的拡大であり、これが遺産登録の決め手となった】ができるということです。その解釈が荒唐無稽かどうかの判断は、皆さんにお任せします。私は、最も自然な解釈だと思っています。
  2. TAC制度はUNCLOS制定前からロシアも実施しており、米国だけ引用するのは不適切 = はい、日米比較のスライドをそのまま借用しました。
  3. ウルップ島まで入れたら解決すると思うのは大間違い = そうは言っていない。ウルップ島まで含めて保護区があると述べたはずです。いろいろな解があると思いますが、どちらにしても、そんなに簡単に世界遺産拡大ができるわけではありません。どのような形であれ、この海域の生態系保全を進めることがたいせつです。
  4. スケトウダラを日露共同では獲っていない = 同じ資源を利用していると述べたつもりですが、舌足らずだったなら訂正します。
  5. ロシア漁業に先住民の知恵などない = 日本では、先住民の概念さえ十分認知されていない。しかし、それは重要です。零細漁業の復権こそ重要。現在の漁業に反映されていないことと、伝統知の重要性を否定することは別の話です
  6. 日露漁業共同自主管理など非現実的 = 政府間協定ができないなら、そのような解もありえると述べたまで。 知床の自主管理強化も、始めは誰にも相手にされなかった。斬新な仮説ほど、既存の権威に叩かれる。私の論文の中で最も引用されている進化生態学の論文は、数回Rejectされました。批判されるのは、斬新な仮説と言う証拠です(だから正しいとは言えないが)

以上です。