生物現象に対するモデリングの数理

Date: Wed, 20 Jul 2011 08:41:22 +0900
9月2?日, 京都大学理学研究科において、以下の企画を行います。(案内はこちら
【タイトル】順応的個体群管理の数理モデル
【概要】Shea et al (1998 TREE 13:371-375)の総説をもとに、順応的個体群管理の理論と応用について考察する。希少種保全、野生動物管理、漁業、害虫防除、外来種対策はすべて個体数管理という点で共通している。しかし、これらの分野の交流の重要性が認識されたのはごく最近のことであり、それぞれ別の学科で研究されている。それぞれ、絶滅リスクの最小化、被害対策、持続的利用、害虫大発生回避、在来生態系保全を目的とし、相互に部分的に応用可能なさまざまな概念と技法が研究されてきた(Sheaらを紹介した松田のサイトhttp://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/1999/shea.htmlも参照)。
 情報の不完全性、環境変動や人間側の対策の不確実性により、最適化理論よりも順応的管理が有効と考えられる。科学的実証方法についての統計学の論争にかかわらず、意思決定手法としてはベイズ法が有効であり、その知恵も蓄積しつつある。
 ただし、いわゆる生態系アプローチhttp://www.cbd.int/decision/cop/?id=7148において推奨される順応的管理は、ここでいう順応的個体群管理の枠を超えたものである。
 本セッションでは、これらの分野の数理生物学的共通点と具体的応用面でのさまざまな問題について考察し、今後の理論的課題と発展の可能性を議論する。

課題論文
Shea K & the NCEAS Working Group on Population Management (1998) Management of populations in conservation, harvesting and control. Trends in Ecology and Evolution (TREE) 13:371-375.
Matsuda H., Kaji, K., Uno, H., Hirakawa, H., Saitoh, T. (1999) A management policy for sika deer based on sex-specific hunting. Researches on Population Ecology41:139-149.