2011.6.12知床世界遺産科学委員会鹿WGでの松田の主な発言

エゾシカ・陸上生態系ワーキンググループ 第1回会議議事概要 (6月12日釧路市)
http://shiretoko-whc.com/data/meeting/ezoshika_wg/h23/shikawg_H2301_gijiroku.pdf

  1. 私は滋賀県のカワウの問題にも携わっている。滋賀県のカワウ対策は一度駆除事業に失敗したが、その際に体制の在り方から議論し、現在は成功している。この様に実現できる事ならやる、できないならやらないとするべき。やったふりで終わるのは世論を騙すことだ。できないのであれば道民と国民にきっちり説明した上で、皆でどうするかを考えるべきだ。
  2. 条件闘争でネゴシエーションをしても根本的な解決にはならない。これまでは減っていく野生鳥獣を守らなければならないという状況だったが、今は違う。これからは過疎化も進み、野生鳥獣の数は増えていく。一方で人間側はこの変化に対応できておらず、共存の仕方もわからず、農林業被害は広がっていく。この様な日本の国土の中で何ができるかという問題であり、世界遺産地域に限った問題ではない。ここまでなら対策をやらせてくださいという発想では何の解決にもならない。ギリギリの妥協の産物の手法では世界遺産の自然は守れないと、はっきりと言うべきだ。
  3. 特定計画よりも特措法で対応すればよいではないかという意見があちこちで出ている。特定計画で行う場合、様々な方面との合意が難しく結局何もできないという事態が全国各地で出ている。私は特措法ではなく、科学的、計画的に管理すべきと考えているが、これが動かないということが現実にあることも重大な危機感を持って認識し、是非実現させていただきたい。環境省則久氏には前向きな提案をしていただいた。
  4. ベクトルが違うからこそ、同じ文章に入れるべきだ。ベクトルの異なる問題の間でバランスを取る事が重要である。希少鳥類、住民生活、自然植生等への配慮しながら計画を進めることが本計画の目的そのものだ。
  5. 18頁の合意形成の図で、科学者は環境省等事務方にばかり意見を述べる形になっており、住民とは対極にあるかの様に書かれている。希少猛禽類専門家の位置づけも不明瞭だ。個別に希少猛禽類専門家、地域の方と話す様では今後も収拾がつかない。ステークホルダー間でまとめて話し合うべきだが、そういう絵になっていないことが一番の懸念材料だ。・・・図の中の地域連絡会議の部分にも科学委員会と希少猛禽類専門家の方も入れてはどうか。