米本昌平さんの2017.3.23産経記事

Date: Mon, 17 Apr 2017 08:28:03 +0000
皆様
 この場を借りて、標記について、【】ご参考まで。
 【米本さんの視点はいつも新鮮で、大いに参考にしています。ただし、米本さんは「京都議定書が外交上の大失策であったことは、政府関係者の間では共通認識である」と書いていますが、たしかに外務省や経産省にそういう方はいるかもしれませんが、少なくとも環境省の間での「共通認識」ではないように思います。】
 また、中身を問わずに、日本の地名が付いた議定書ができればよいと政府が勘違いしているという指摘ですが、【必ずしも悪いことばかりとは思いません。生物多様性条約について「日本は議長国としての大役を果たしたと私は思います。問題は中身と仰いますが、議長国として合意にこだわったからこそ、合意ができたのだし、中身にこだわらないと言うことは、皮肉を含めて言えば、最も公正な議長国としての賞賛と信用を得たと思います。それ自体が成果です」と申したことがあります。(公開書簡)】

 こうして成立した気候変動枠組み条約と京都議定書…は第1に「予防原則」に立っていること。第2に、京都議定書は事実上の産業活動であるCO2の排出削減を国際法によって義務づける、異端の国際合意であったこと。第3に、外交の形態に革命が起こり、交渉過程が全てオープンになって、議論全体が環境NGO寄りの価値観の上に組み立てられていること、である。
 政府は【-6%という日本の】削減義務達成が不可能と考え、電力業界とともに発展途上国から排出枠を買い取ったが、総額は5千億円にのぼると推定される。こうして京都議定書の約束期間に入っていれば、日本は削減義務が果たせず大問題になっていたはずである。ところが08年秋にリーマン・ショックが起こり、日本の産業活動は急速に減速し、皮肉なことに京都議定書の目標は楽々達成してしまった。

 私も当時は京都議定書を「1930年の軍縮条約以来の不平等条約」と言いましたが(拙著「なぜ生態系を守るのか205頁)、米国が離脱したことで、そうでもなくなったと思います。上記の拠出は、この記事にあるドイツの拠出に比べて法外とは言えないのではないか(専門外なので、要確認)。