CITESクロマグロ問題は日本の恥か?

Date: Sat, 10 Apr 2010 07:08:45 +0900
 【ワシントン条約での大西洋クロマグロ掲載否決に関する環境団体の反応は、】敗北感が浮き彫りになっていると思います。附属書Iがだめなら、なぜIIに掲載しようとしなかったのか。妥協案を出していたら、採択されたかもしれません。少しでも資源管理を前進させたいというつもりは、環境団体にもなかったということでしょう。
 禁漁よりきちんと管理して貰うことが第一です。いきなりレッドカードはできればやめたほうがよい。その姿勢で一歩ずつ掲載するよう根回ししていけば、漁業管理がしっかりする方向に向かうはずです。その意味では、環境団体も決して落胆する必要はないはずです。掲載基準とICCATの今までの振る舞いを見る限り、附属書I掲載でもやむをえなかったと私も思います。多くの持続可能な漁業を目指す国際的な資源学者もそういっています。しかし、附属書I掲載支持の世論で、ICCATは4割の漁獲枠削減を合意したのですから、成果がゼロだったわけではありません。これで十分とは私も思っていません。しかし、それでも成果皆無と思う人は、持続的漁業より、禁漁を望んでいるのでしょう。
 前回のワシントン条約では欧州ウナギが掲載されるなど、水産資源保護にCITESを活用すると言う立場からみて大きな前進がありました。今回水産資源がすべて否決され、逆戻りしたと環境団体は思っているかもしれません。しかし、締約国の世論を全く調べずに妥協できない案を出したことがそもそも問題です。
 クロマグロの件がなければ、少しは水産資源も掲載されたのではないか。
 【外国のかたから、ワシントン条約の日本での振る舞いから見て、日本は生物多様性条約の議長国の資格がないという声があったそうです。】ワシントン条約の【クロマグロ】否決と、CBD議長国を務めることは全く関係ないと思います。愛知万博のときも捕鯨国が環境万博とは という八つ当たりがあったようです。今回、ICCATで漁獲量削減に積極的だったのは日本であり、EU漁業国ではありません。FAO諮問委員会の勧告にあるように、サメ(Dogfish)の資源を減らしているのはEU圏内の取引です。【これはCITESでは規制できません。】CITESで否決されてもされなくても、EU圏内の取引制限にEUは努めるべきです。環境団体はCITES否決に落胆せずにそれを求めるべきで【す】。これは2年前のCITESから言われていることです。
 なぜEUが議長国でも恥ずかしくなくて、日本なら恥ずかしいのですか?【】EU漁業国を棚に上げて日本を批判する人【がいたそうですが、】たしかにノルウェーはその点は一貫していたと思います。では豪州はどうですか?人間の多様性を認めない人でなければ、自分と違う意見でも主張に一貫性のある人のほうが尊敬できるはずです。私は今回、豪州の態度が一番恥ずかしかったと思います。【絶滅危惧種でもないミンククジラの捕鯨に反対する】彼らが、自国のミナミマグロ漁業を守るために【クロマグロ禁輸に】反対した。
 CBDが先進国と途上国の対立の構図に巻き込まれることは、気候変動条約COP15でも起こったように、日本が議長国でなくても予想されます。議長国の問題ではありません。