MELジャパン(水産物認証)の未来

Date: Thu, 13 Jul 2017 18:31:03 +0900

先日、ある人々に以下の意見を申しました。

  1. MELの既存の認証を受けたものの扱いですが、実は同じ悩みは、私が深くかかわるユネスコMAB(人間と生物圏)計画でもあります。ユネスコエコパーク(BR)は以前は保護中心の制度で途中から持続的利用中心に変わりました。第1世代登録のBRに見直しを迫ったが、放置されたBRが多数ある。世界遺産なら危機遺産指定があり、MSCなら更新不可の仕組みがあるが、BRには仕組みがない。そこで毎年、現在の理念に合わないBRの「出口戦略」が議論されている。これはあくまで脱退勧告と自主的な脱退です。(注1)日本は、1980年登録の第1世代BRのすべてが、無事2016年までに新基準を満たす拡張登録が認められました。これは最近10年間の私の主要な活動の成果の一つです。ちなみに、MABの中期戦略では環境と地域振興だけでなく、SDGs全般のモデルを目指すと明記しています。MELもGSSIを目指すなら、SDGsを掲げる手があるでしょう。
  2. 現在、「海のジパング」計画で、深海底の鉱物資源開発の環境配慮基準(BBNJ)にもかかわっています。今日も国連本部で法的拘束力(ILBI)をどう作るかが議論されていますが、我々はISO基準作りを進めています(初回WGを先月開催)。こちらも「認証」ですが、法的拘束力と違い、みなが使ってくれないと意味がありません。深海底の場合、ILBIが及ぶのは公海で、実際の開発探査は主に内外のEEZですから、ILBIと整合したISOが諸国に活用されればそれでよいと私たちは考えています。MELも最大の問題は作ることより使われることでしょう。認証を得る業者が増えるだけでなく、消費者が実際に参考にするか、国際世論の評価がすべてだと思います。

注1)今年のユネスコMAB国際調整理事会 下記を見ると、米国(ユネスコ離脱中)のエコパークを中心に17箇所が
自主脱退(self withdrawal)、それ以外に脱退勧告や音沙汰なしが続出しています。

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