エゾシカ保護管理検討会への意見

エゾシカ保護管理計画の一部改正について
Date: Sun, 15 May 2005 12:35:13 +0900

○○さん、皆様

「総体としての狩猟努力量の減少なしに(比較的ストレートに)狩猟努力の集中が望めるのは道外ハンターではないでしょうか。道外ハンターは高いお金をかけまた大変な時間を割いて北海道へ猟にくる人たちですので、道内での猟場の選択にかかるコストは相対的に小さくなります。したがって、地域的な狩猟規制を行ってもその広義及び狭義の狩猟努力量にはあまり影響しないと考えられます。また、同じ理由から彼らは「土地ベースで捕獲効率の高い所」を好むと考えられます。その意味で、道外ハンターを政策的にうまく特定地域に誘導し集中させることができれば良いと考えられますが、そうしたやり方は考えられないでしょうか。ただ、そうは言っても極端にアクセスの悪いところへ誘導することは難しいかも知れませんが。」

 はい。賛成です。問題は、道外ハンターだけの可猟区,地元猟師だけの可猟区を設けることができれば、物事はわかりやすくなりますが、法律的に無理でしょう。どちらかを犠牲にするしかない。
 いずれにしても、目的(軸足)を定めないと、科学者として意見の言いようがありません。我々は自分の価値観で主張するのではなく、社会が合意した目的を実現するのに必要な政策を科学的に定めることです。
A)道東を制御するためには、牝鹿を少なくとも去年より多くとる必要があります。現在の個体数指数が○○-○○、1998年前後が120程度だとすれば(要確認)、当時の2/3以上はとるべきでしょう。(密度効果を無視しています。当時より自然増加率が高い可能性も否定できません)それでようやく漸減だと思います。これは、今以上の努力をするか、国有林の中で大規模に捕獲すれば、可能だと思います。
B)道央を制御するには、道央の個体数推定値が必要です(自然増加率は道東と同じと仮定)。個体数指数はそれなりに得られるようになりましたが(○○さん感謝)、獲って減らした経験がないので、絶対数はかなり不確実です。たしか、○○さんの計算では20−30万頭でしたか(要確認)。だとすれば、道東の1998年より(はるかに)多い捕獲数が必要でしょう。私は、これが現実的な政策だとは思いません。少なくとも、道東に向けた全努力を傾ける必要があると思います。*いずれにしても、道央の捕獲数と個体数指数は、道東と同様の資料を準備してください。これは、○○さんの計算により、既に可能なはずです。(たいへん貴重な努力です)
C)道南は、道東でのわずかの努力を配分すれば、制御可能でしょう。地元ハンターだけで足りるかどうかは、情報がないと判断できません。道南も、捕獲頭数の目標を定めましょう。
 私には、AとBを同時に満たす現実的な対応が可能とは、とても思えません。中途半端にやっても、「焼け石に水」です。もしこれを行うなら、それによって、将来世論が高まり、捕獲努力を大幅に高めることが展望できないといけない。
 今回は、検討会として上記の分析を詰め、同時に制御することが不可能であることを答申すべきだと私は思います。これは去年からわかっていたことであり、それを受けて「非常事態宣言」が出されたと私は認識しています。それなのに、今年、それ以上に踏み込んだ政策が提言できないのは感心しません。有効利用にシフトするのは賛成です。また、農業被害対策を充実させることも重要です。自然植生保全はさておき、農業被害額の漸減を続けることは意義あることです。(H19年から?の次期計画では、自然植生への環境監視monitoringも不可欠でしょう。しかし、守れないこともおそらく覚悟せざるを得ないでしょう)それらと、現在、展望のない目標に固執することは別問題です。せめて、認識はしっかり明らかにし、無駄な対策はやめるほうが得策です。予算がないのですから。
【中略】

全期間を通じて非可猟区とするというのは、合意形成が困難だと思います。

 困難でも、提案することに意味があると思います。そうでなければ、このままではいけないと言う認識が、道民とハンターと報道に広まらないのではないでしょうか。
 駆除の報奨金はもうやめるのでしょうか?東も西も続けるのでしょうか?有効活用に予算を振り向けることにしませんか?
 これは、実質的には緊急減少措置を止めると言うことです。その見直しはH19年に行うことになるのでしょうが、現在でも個体数の減り方から見れば、漸減措置に過ぎない状況です【後略】