題名「知床の海域管理:世界遺産への新たな課題」
2004年、日本政府は知床半島とその周辺海域を世界遺産に登録申請した。これは日本で始めて陸域と海域の双方に世界遺産区域を設定したものであり、かつ、持続可能な漁業を行う海域を世界自然遺産に登録申請*1したものである。私はその管理計画の科学委員会と、エゾシカおよび海域の二つの作業部会の委員を務めている。2004年7月に遺産登録の可否に影響力を持つIUCNの視察者から、ダム、海域保護などについて意見が寄せられ、政府がそれに回答したものの,海域面積を増やし,海域の保護強化を求めるという再度の具体的な意見が寄せられた。この間の迷走は、2005年愛知万博の計画変更の経緯とも似ている。生態系保全と漁業をどのように両立させ、それをどう国際社会に理解させるか,7月の登録採否決定を前に,今後の展望を議論する。
*1:2005.5.27「申請」を加筆。2箇所リンクを追加