金沢大学 角間の里山自然学校 訪問記

○○さま
 6月15日、金沢大学の中村浩二教授を訪問した。10月28日から加賀市で開かれる個体群生態学会大会シンポジウムの事前打ち合わせのためだ。本当は14日から招かれていたが、14日午後まで札幌で別件の会議があり、14日深夜に羽田空港に戻って空港近くで一泊し、早朝小松に向かった。
中村さんたちは、金沢大学のキャンパス内に施設を設けて、「角間の里山自然学校」を開いている(2005.6.12朝日新聞に紹介記事)。江戸期の豪農住宅「山口新十郎家(写真:赤石さん提供)」を移設した「金沢大学創立50周年記念館」で打合せを行った(写真内部=赤石さん提供)。大学自身は駅からバスで30分ほどの山の中だが、医学部など一部を除いて、文理各学部がこの地域にあり、その一角に、自然学校の施設がある。木造の立派な屋敷だ。「裏」には棚田を復活させた立派な里山があり、「里山メイト」を組織して、大学生、卒業生、近くの農家、住民などが利用している。学生の研究対象としてもさまざまに利用している。中村さん自身が指導する学生、大学院生、ポスドクも数多いが、フィールドと研究課題に困ることはないだろう。長年インドネシアを調査地としていた中村さんには、インドネシアなどからの留学生も多い。まさに国際感覚で里山を体験し、ともに研究する体制が出来上がっていた。
滞在していると、ひっきりなしにさまざまな人が訪れる。この日(6月15日)は近くの若手の高校の先生たちが自主研修に訪れ、さらにテレビ局まで撮影に来ていた。私は中村さんと愛媛大学日鷹一雅さんとともに棚田と森を訪れた。田んぼ生態学者(?)の日鷹さんと、中村さんが手がける田んぼに行けるとは、最高の贅沢だ。彼が初めて訪れる田んぼで何をどう見るかを横目でみるのは、大いに勉強になった。今夏は、臨海生態学の権威である向井宏さんやその他の鮭学者とアムール河を来訪する予定がつぶれてがっかりしたが、日鷹さんと田んぼを見るのもたいへん貴重な価値である。
その夜は中村さんと酒を飲みに行った。前夜は日鷹さんと大阪府大の夏原由博さんを接待していたから、連夜だ。昨夜は日鷹さんが夜ゲンゴロウ?をとりに行ったので深夜の宴席だったようで、昼、山を登るときさすがに息が切れていた。それなのにもう一晩私だけのために付き合わせてしまい、たいへんご迷惑をかけてしまった。金沢はよい町だ。今度は秋に、是非訪れてみたいものである。