本気で検討されている?知床オオカミ再導入

Date: Thu, 30 Jun 2005 11:35:40 +0900
○○さん 【知床博物館研究報告第26集に、オオカミ再導入の論文が3編あります。オオカミ導入の是非】については自分で論文を読んでいないで【すが、】以下は現時点での感想です。
 同じYellowStone国立公園でのオオカミ導入を分析したSmith論文を読んでも、上記特集にある石城さんらと亀山さんらでは印象が逆です。P31では、あたかもオオカミ絶滅がシカ大発生の原因のように書いているがこれには異論が多い。エルクが減ったことは共通していても、その減少幅の評価と、オオカミ導入で減ったと言えるのかも疑問です。
 上記特集で加藤さんも結論付けているように、日本にオオカミを再導入するなど、現時点では論外だと思います。理念として、昔の生態系を復元したいと言う趣旨は理解できます。しかし、それと、シカ問題解決やさらにげっ歯類の増加などのご利益を説くのは、「スケトウダラを増やすために鯨を取れ」と言うのと同様、現時点では根拠がないと思います。もっと正直に、絶滅したものは復活させるべきだと言う理念を説くほうがまだ説得力があります。
オオカミの前に、マタギ文化や放し飼いの犬の復活が先だと私は思います。犬は狩猟文化に不可欠。シカなどへの効果としてはオオカミと似ているが、あくまで飼い犬です。街中で放し飼いは論外.しかし、ヒグマの生息地でも都市部と同様に放し飼いはいけないと言うのは、無意味だと私は思います。野犬増加を奨励する哺乳類学者は殆どいないでしょう。それなのに、いきなりオオカミ再導入と言うのは、私には同意しかねます。
ただ、将来もありえないかどうかは、なんともいえません。
 さて、欧米の生態学系の大学院生では、最近、菜食主義者の比率が急激に増えていると思います。学科の院生の約半分が採食主義者という話も聞きます。(彼らの教員の世代には、宗教的理由を除けば、ほとんどいません。L.A.R.さんが菜食主義でしたが)しかし、日本の大学院生では、いつも講義で受講者に聞いていますが、少なくとも私はまだお目にかかったことがありません。この違いがどこから来るのか、「違い」を裏付ける統計調査が行われているのか、どなたかご存知でしょうか?これは環境倫理学者にとっては、絶好の研究材料だと思うのですが。
 皆さんのご意見をお聞かせください。