エゾシカWGでの議論

○○さま、
 【知床地域のエゾシカの自然植生等への影響がI「過去にない不可逆的な影響」かII「過去にもあった生態系プロセスの一部」かについて】シナリオIかIIかという「基本認識」(あるいはbaseline)については、科学的に吟味することであり、社会の合意とは本来独立したものです。
 シナリオIに立つという暫定合意の下で管理目標として何を掲げ、どんな措置を講じるかは社会の合意に係ることです。
 【知床岬に大規模柵を作ることが技術的に可能だとしても、予算上または社会合意を得ることが難しいと言う意見に対して】科学的に必要だということならば、まず提案すべきです。これは100平米運動の場所で個体数調整が必要かどうかについても同じことです。(すぐに)社会的合意が得られないからといって社会に提案もしないのでは、社会に対して過ったメッセージを送ることになります。
 私は、リフュージアとしての大規模柵を作るならば、(それとは別に)個体数調整を行うならば、知床岬は最も(技術的に)やりやすい場所の一つであると思います。それは以前から言ってきました。費用対効果の高い場所とも言ったつもりです。
 この二つの提案は分けて議論してください。捕獲せずに大規模柵を作っても柵が破られる、破られないための柵(大台ケ原にはあったと思いますし、大台ケ原より予算がかかるとは思いませんが、それは事実を確認してください)を作るのが合意が難しいとしても、大量捕獲するのはそれほど難しくないと思いますし、そのためには柵が有効だと思います。捕獲のための柵は、ずっと簡易なものでよいと思います。その場合、狙撃か罠かなどの具体的な方法はいろいろ考えられると思います。
 先日の私の提案は、捕獲の提案であって、捕獲せずに植物の避難所を作る話ではありません。シナリオIなら、捕獲せずに植物を守る必要はなくなりました。
 知床岬よりも保全上貴重な場所はあるかもしれません。しかし、それぞれの場所を守る手段【の実現可能性】を含めて検討すべきです。高地は守りやすいかもしれませんが、今すぐその一部を柵で囲う必要があるかどうかは疑問です。知床岬だけを守ればよいとはいいません。しかし、あそこも守ることができないなら、ほかも難しいと思います。【後略】