科学者と環境コンサルタント担当者の役割について

Date: Thu, 22 Dec 2005 12:38:05 +1200
 コンサルの位置づけについては、12・16宮城県アセスメント協会主催の講演会でも質問がありました。私は以下のように答えたと記憶しています。
 科学者は、研究費で地域に関わる場合、しばしば研究費の切れ目が縁の切れ目になるが、地元市民から見て「落下傘」と反感を買うことがある。科学委員会などで関わる場合、短期的に意見を述べるだけでなく、長期的に関与し続けることが重要といわれる。科学者は不適切な助言をしても通常、法的経済的責任を問われることはないから、長く関与し続けることで責任をまっとうできる側面がある*1
 科学者は自由意志で忌憚ない意見を述べることができるが、コンサルは発注先の不利益になるようなことはいえない。しかし、コンサルが発注者(行政など)と同じ気持ちでいるとは限らず、むしろ最も事情をよく知る当事者として、さまざまな解決の糸口を知っている場合がある。水面下で科学者や利害関係者に根回しすることは十分に可能である。私は天皇制を支持しないが、天皇制を存続させた日本人の「風土」にはよい側面があると思う。(過去に女帝はいたがすべて男系であった。直系が断絶したときに数代さかのぼった「庶民」を即位させた継体天皇の例もある。女系天皇を認めることは、天皇制の1500年以上の歴史の中で初めてであり、天皇制廃絶への一歩だと思う。)

*1:鷲谷いづみ・松田裕之(1998)生態系管理および環境影響評価に関する保全生態学からの提言(案). 応用生態工学 1:51-62.