NHKの環境省随意契約批判報道について

去る2006年4月4日、NHKは「情報公開制度を利用して、環境省が平成16年度までの5年間に行った、工事の発注や物品の購入など500万円以上の契約およそ3000件について調べ、全体の93%が、特定の業者と結ぶ随意契約で、競争入札は7%しかない」ことを批判する報道を行い、「随意契約の相手の半数が公益法人で、その6割余りに環境省のOBが天下っていた」と批判した。
 この過程で、あるNHK記者から突然電話が勤務時間中にかかってきて、「ある委託事業の報告書がずさんなので、それがおかしいと取材で答えて欲しい」というような内容の強引な申込みがあった。私はその委託事業を知らないので、答えようがないと判断し断ったが、なんと直接研究室に押しかけてきて、おかしいというコメントを発するよう繰り返し依頼された。
 どう考えても、その場でいきなりはじめて見る分厚い報告書に対してそれを批判するコメントを記者の前でしてくれといわれても、答えようがない。余りに強引な取材であると思い、お断りした。はたして、報道を見ると、そのようなコメントを発する専門家には巡り会えなかったようである。
 私はその際にも説明したが、研究・調査の委託事業は私が知る限り評価にかけられ、低い評価を受ければ途中で打ち切られたり、継続できないことがある。事前の入札で受注者を決めることが妥当な委託を実現するかどうか、疑問である。
 今までは研究成果だけを評価基準にして、魅力的な申請書を書けばよかった。この報道の結果、環境省は研究機関への委託研究に関しても競争入札制度を導入する構えを見せているという。環境省NHKの批判に動じることなく、必要な随意契約を続けていただきたい。