政府がNHKに対して、短波放送で北朝鮮の拉致問題を報道するよう「命令」したという。これには批判が相次いでいる。報道の自由を侵すものという主張はもっともだと思う。
しかし、一つ報じられていない側面がある。それは「拉致追及」自体に対する負の影響である。この命令は、拉致報道がNHKの自主的判断でなく、政府の命令によって強いられたものであることを証明してしまった。それでは、相手国の独裁体制を批判することはできなくなる。今後、拉致を日本の報道機関が報じるたびに、北朝鮮は、これが政府の命令で強いられた報道であると宣伝するだろう。これは、計り知れないマイナスである。北朝鮮は、この「命令」を飛び上がって喜んでいることだろう。