トロール漁業への外圧

Date: Tue, 9 May 2006 23:31:01 +0900
○○さん、○○様,○○様
【ジェレミー・レフキンの「脱牛肉文明への挑戦」という本】は珍しく英語"Beyond beef"で読みました。2004年のPICES会議でも紹介しました.
【漁業への外圧に対抗するために狂牛病をひいて、「肉と魚とどちらが人間にとってより有害か」という一言を付け加えるという意見に対して】それは相手と同じ土俵に立つことです。私は魚を食べようとふだん言っていますが、狂牛病騒動のときだけは、焼肉屋への同情を訴え、「牛肉を食べよう」と宣伝しました。(Googleで「牛肉を食べよう site:risk.kan.ynu.ac.jp」を検索してみればわかります)IWC下関大会の前(日韓W杯の前)には、韓国の犬食文化を支援する首相演説を提案しましたが、実現しなかった。

昨日、朝日新聞の2面の広告欄で「飽食の海」の広告を見ました。・・・どうしても、日本の漁業界や真面目に取り組んでいる研究者の実績よりも、「世界はこんなことを言っている!」というほうがマスコミにはインパクトが強い

 きちんと管理していれば、それほど気にすることはありません。マグロもサメも、大きな問題になりかけましたが、漁業ができないということにはなりませんでした。
 問題は今後のミナミマグロですね。・・・厳しい状況に追い込まれるでしょう。業界は、それでよいと思っているのかもしれません。1996年に絶滅危惧種に指定されてから、10年間現状を維持できたのですから。
 持続可能な漁業よりも、元を獲るまで持てばよしとするというお考えならば、科学者としては残念です。 捕鯨も同じです。結局、○○漁業は捕鯨から撤退してしまいました。
 トロール漁業への外圧に対しては、国内のある著名な漁業学者からも、批判を取り上げるよう「指令」を受けています。
 あくまでも、持続可能な漁業が行われていることをデータで示すことが求められています。
 海山は面積としてはわずかかもしれませんが、海洋生態系にとっては重要な場所です。これは、外洋における水産資源の貴重な供給源という見かたもあります。ウナギの産卵場も、海山にあると東大の○○さんは考えています。
 面積だけを語るならば、ヒマラヤの頂上も同じです。
 IWC【での日本の取り組みのように】第3者を説得できる論理を立てなくては、支持を得ることはできません。
 【】知床世界遺産もあります。ここも海域管理計画を作らないといけません。日本の沿岸漁業は漁組の自主管理に基づいていますが、これはむしろ、世界で注目されています。このやり方が沖合漁業や遠洋漁業でも通用しているとは、漁業学者は思っていません。沖合・遠洋漁業には別の管理が必要です。
 勝手なことを申しました。今後ともご指導宜しくお願いします。

Date: Wed, 10 May 2006 08:05:48 +0900
○○さん
【昨夜は】あんなに遅くまでお仕事されていたのですか。私は自宅で風呂に入ったあとでメールしました。ご苦労様です。お大事に
 IWCにおける日本の取り組みを参考にし、【IWCほど予算がなくても】予算と人脈でできる限りのことをするという意思があるのでしたら、私としても、微力を尽くさせていただきます。だいじなことは、

  1. 科学的知見を踏まえる
  2. 公正さを求める
  3. 現実的に可能な解を求める
  4. 長期展望を明確にする

ということだと思います。その場しのぎの理屈では、持続可能な漁業はできません。勝手を申しますが、宜しくご検討ください。