F-MAP会議報告 

今回で3回目の参加だが、今回はRansom Myers以外の話もCoMLらしくなり、充実していた。私は相変わらずデータベースに適応できていない(○○さんのプロジェクトと○○さんのNaGISAに期待しているのだが)。要するに、大規模調査データを用いていかに生物多様性を評価するかと言う研究打ち合わせである。

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コロンビア人のCamilo MoraはMillennium Coral Reef Mapping Projectをやっているらしく、CoMLの興味が生物多様性の解明にあるが、彼の興味はその管理戦略にあると言う。さんご礁とそこに設置したMPAの総面積と数を海域別に調べ、その保全状態を示していた。これは面白い。北西太平洋は決して悪くない。悪いのはむしろ大西洋だった。ぜひデータを貰おう。MPAの面積により、どこまで保全できるかが異なるともいっていた。

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Derek Tittensorの深海の話はたいへんまともだった。最近、深海さんご礁の重要性が指摘されているが(Roberts et al. 2006 Science 312:543-547)、データがごくまばらにしかない。特に南大西洋、南太平洋、インド洋の調査がない(メラネシアを除く)。そこで、深海さんご礁のありそうな生息適地をHabitat Suitability Modelにより予測しようと言うものである。
彼が注目したのは海山のStony corals(造礁珊瑚)である。
 彼はデータベースを4つに分け深海データが最も貧弱で(データ間に一貫性がない)、延縄漁業は一貫したデータが取れ、沿岸さんご礁で独自調査のデータがそれに勝り、最も詳細なのは人工データであると言っていた。私が、なぜ深海データが貧弱か、独自調査計画がないかと聞くと、深海の多様性調査は難しいと言う返答だった。私が、最大の問題は種の同定よりもどの程度の面積の海山が(底引きトロールで)壊れているかではないかと質問すると、結構、みな同意していた。【】
 また、生物多様性を論じるには広域分布種か固有種かが重要で、DNA系統分析が欠かせないと指摘すると、○○が同意してくれた。予算的にも十分可能だといっていた(が、やるかどうかは不明)。
 次に、予測結果の妥当性を検討した。Boyce et al. (2002 Ecol Model 157:281-300)のcross validationと言う方法と、頑健性を GLM or GAM で確かめたという。ここで問題は水深別に予測しているが、そこが海山か深海(斜面と言う意味か?)かを区別していない点らしい。もう一つの問題は、地球環境変化がどう影響するかと言う点である(Orr et al. 2005 Nature 437:681-686)。不確実性の範囲を評価することが次の問題という。