生物多様性国家戦略見直し、 論点整理

Jeconetの皆様
 国家戦略の見直しのヒアリングには、【】私は特に意見を公式に述べる予定はありませんが、見直しの論点整理について、急いで意見をまとめてみましたので、紹介します。もはや【生態学会】全国委員会で議論する暇もないようですので、この場の議論が重要と思います。
その中で特に気になった点を4点申します。
一つは【】ほかの省庁のグランドデザインとの関係です。【】現在の国家戦略の実施計画の部分は、ほとんど他省庁の既存の制度を切り貼りしただけのようなものです。元から整合していればもちろんそれでよいのですが、大切なのは、グランドデザインを作るときに省庁間で(国民全体で)どこまで一貫した理念をもっているかということです。今、風発の委員をしていますが、温暖化対策、代替エネルギー開発の重要性はすでに合意されているはずなのに、各論に入るといきなり省益(【局】益)がむき出しになっています。(新エネルギー発電の)数値目標を達成しつつ対案を出すという形で議論が進んでいません。
 もう一つは、実現可能性の吟味です。 食糧自給率の向上は農水省の長年の最重要目標のはずなのに、全く現実味が感じられない。 温暖化対策も排出権を買えばよいと思っている節あり(これも、「自給率」が問題になる)、 中山間地も、手入れが必要というだけでは何も解決しません。 論点整理を見ると、委員の意見にはありますが、手入れできないところを具体的にどうするかの戦略が見えません。
 第三に 生物多様性保全の観点です。生物そのものの保全と人間との関係性の中での保全の2つの観点があるということですが、【国連ミレニアム生態系評価】では人間との関係性の中でも「生態系サービスと人間の福利」の関係の解析に努めています。しかし、生物多様性はそれ自体、わが国の先人たちが人と自然の持続的な関係を築いてきたことの指標であり、歴史的価値も評価すべきです。これは「生物そのものの保全」という観点ではなく、やはり、人間との関係性において、生態系サービスとは異なる観点として提案されたものだと思います。
 最後は個別の問題ですが、沿岸・海洋域は、砂浜などの自然海岸や浅海域の保全・再生の強化、漁業との両立を通じた海洋の生物多様性保全等を推進とありますが、砂浜などの自然海岸の維持は浅海域の保全・再生だけでなく、河川の問題であり、陸域からの土砂供給を確保することが重要です。この視点無しに海岸の保全・再生を図ることには慎重になっていただきたいと思う・・・のですが、皆さんはいかがでしょうか?河川をいじらずに砂浜を復活しようという動きがあるのですか?そうだとして、大丈夫でしょうか?どなたか詳しい方のご意見をお待ちしています。