水産学会水産政策委員会での松田の主張

Date: Sat, 13 Oct 2007 13:26:13 +0900
 まず、本学会として主張すべきベースラインを明確にして、それに加筆するかたちがよいとおもいます。
 その意味では、黒倉さんの10.1演説がまずベースになるでしょう。大きく以下の3つになると思います。

  1. 歴史的に振り返ってみると、漁業や水産業、それにかかわる学問である水産学は、今では当然とされている、先駆的な概念をいろいろと生み出してきた Sustainability (MSY(Maximum sustainable yield)、最大維持漁獲量)  順応的管理 今後の世界をリードする概念を生み出す可能性 海洋政策は、長いスパンでの真理や正義に支えられていることが重要 水産学の知識の集積を活用していただきたい 水産学の研究もよろしく支援していただきたい
  2. わが国独特の漁業制度(ボトム・アップ方式の管理の利点) 利用同士が協調して互いの権利を保障しながら、重層的・持続的に海面を利用
  3. 水産業が、唯一、生物資源、すなわち再生可能な資源を扱う産業 海洋環境とともに長期的・短期的に大きく変動する野生生物資源に依存

 これを海洋基本政策に盛り込んでいただくよう働きかけるのが筋であり、あまり高望みしても、学会内部の合意も得ていない段階では、難しいと思います。唯一、

  1. 海洋情報モニタリングに生物資源モニタリングも含めること

が重要だと思います。これは本委員会で一致していたと思います。
 開発者負担原則 というのは不勉強にして初耳ですが、いわゆるPollutor Pays Principle(汚染者支払原則 と訳すべきだという慶応大環境経済学者の細田衛士さんに納得)と似たものだと類推します。 大切なことは、 漁業補償だけでなく、その他の生態系サービスも含めて、失われるものを開発者が補填するということです。それはほぼ不可能だと思います。となると、【】この原則自体の有効性が疑われると思います。となると、我々の主張としては、「自然環境の価値として、漁業資源だけでなく、干潟・藻場・サンゴ礁を含む沿岸域の生態系の調節機能や文化的価値などを含めた生態系サービスを持続可能に利用することの重要性を認識すること」などとなると思います。