シカ捕獲個体の処理に関する議論について

Date: Tue, 27 Mar 2007 20:41:35 +0900 (JST)

遺産地域外の隣接地域は別問題です。遺産地域内は、雇用され完全に管理されたハンターによる個体数調整の「事業」としてしか行われない予定ですが、隣接地域のうち羅臼側では一般狩猟が解禁されており、・・・

上記の意見に賛成です。「生態系循環の密度操作実験」は一般の捕獲とは異なり、特定のハンターを動員して行うべきだと思います。鉛弾問題を抜きにしても、利用と混在する可能性のある隣接地域では、放置は論外だと思います。
 岬以外の登録地については私にはよくわかりませんが、放置でも利用でもよいという地域は設けないほうがよいと思います。

Date: Tue, 3 Apr 2007 23:44:35 +0900 (JST)
問題を二つに分けて議論したいと思います。
1)死体の「大量」放置が猛禽類に与える影響について
2)法的または行政的判断として、死体放置はできないという意見について
 まず、環境省として、知床岬のシカを大量(雌150頭程度を3年間以上)捕獲する場合、死体放置ができないとすれば、回収する予算措置が取れるのですか?
 方法はいろいろ考えられます。おそらく、ヘリコプターで回収するよりは、岬に「残滓処理施設」(法的にそうみなしえるもの)を作るほうが費用が少ないと想像します。あるいは、流氷上に「保管」するなど、さまざまな手段を検討ください。
 我々は、できないことを提案するつもりはありません。法律の専門家ではありませんから、放置できないという判断を行政としてするならば、私はそれに反対することはできません。
 しかし、我々が岬のシカを自然の推移にゆだねるべきではないと判断したのには科学的な理由があります。そのときの判断は、岬の自然植生にシカ食害によって不可逆的な影響が出る恐れがあるという判断でした。
 放置するほうが生態系過程としては自然であるというのも、シカWGとしての一致した意見です。しかし、それができないということになりました。【】
 今までの議論を踏まえ、以下の選択肢があると思います。
1)岬で密度操作実験を行い、死体を回収する(あるいは密度操作実験を行ったうえで法的に可能な方法をさらに模索する)
2)他の3地域のうちどこかを先に密度操作実験を行う(その場合も、死体処理方法を検討)
3)密度操作実験を当面行わない
 私の意見としては、上記の1,2,3の順に優先順位をつけて検討いただきたいと思います。
Date: Wed, 4 Apr 2007 13:32:57 +0900 (JST)

  1. 密度操作実験によって生じるシカ死体の数が「不自然」かどうかについては、皆さんが指摘されるように、自然現象でも同様の大量死が生じることがあるという認識で一致していると思います。【】
  2. そうであっても、人為起源のシカ死体を海ワシ類が摂食することによる撹乱が問題になるかということですが、【】海ワシを生態系の「健全性」の指標とする場合、より明確な議論が必要だと思います。海ワシの食性は、すでに、人為的な餌資源に大きく依存しているのではないでしょうか。どの程度の比率か、もしデータがあれば教えてください。
  3. 死体放置を「1箇所」に置くという考えはもともとなかったと思います。ただし、残滓処理施設に入れることは考えられます(放置でなく回収です)。処理施設の死体を海ワシ類が食べることができるようにはしないと思います。
  4. 「そもそもシカの個体数がもともとの量ではないし低いレベルで除去するというのとは違うので、もともと適正でない量のシカ死体がでる懸念があり影響の出方がわからない」ということですが、死体数としては自然状態よりずっと高いということではないと思います。
  5. 銃弾を含む死体という指摘も、上記の既存の人為的餌の影響に比べて大きいとは思えません。
  6. もちろん、「追跡調査をきちんとするということであれば、生態系へあたえる影響調査も含めて実験的にやる」というのが科学委員会の見解です。放置するのでないとすれば、この実験はできなくなります。できると決まっていれば、さまざまな具体的な調査項目を検討したいところでしたが、残念です。
  7. 死体放置が法的行政的に不可能な根拠として鳥獣保護法第18条が添付されましたが、第18条には「適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合として環境省令で定める場合を除き」とあります。今回は適切な処理が困難な場合に該当し、かつ生態系に影響を及ぼす恐れが軽微(あるいは回収するほうが影響が大きい)場合に該当します。困難な場合についても省令で定めているのでしょうか?省令で定めるのが後者だけにかかるならば、法的には可能だと思います。環境省に決意があれば、省令を定めれば完全に可能だと思います。第19条1項には、まさに知床岬の事例に該当することが明記されています。私は法律の専門家ではありませんが、18,19条を根拠に法的行政的(この両者を区別して説明いただいていません)に不適切なのか、ますますわからなくなりました。むしろ可能であると私には読めます。

☆この法律判断を下さった法律専門家のお名前を教えてください。また、【法的に不適切なだけでなく】行政的に不適切ということの根拠を改めて説明してください。