IQ/ITQ制度導入に関する議論

Date: Thu, 4 Dec 2008 08:12:55 +0900
 【】具体的なデータに基づく検討が必要というのは全く同感です。スマートな理論が現場感覚にあわないことは、どの分野の研究でも多々あります。小型浮魚類の場合、資源変動をどう考慮するかが最大の問題で、そこに私の興味があります。しかし、10倍以上の資源変動は漁業者自身も天変地異としか思っていない節があります。それに耐えるITQ制度が必要だと思っています。(その場合、それを利用する側の体制も重要ですが、私にはそこまでは検討できません。供給できる魚種が変わっても、総量は比較的安定させられるだろうという「神学論争」です)

Date: Thu, 4 Dec 2008 09:18:41 +0900
 日本の沿岸漁業で「絶賛」されている事例はごくわずかだと思います。水産政策委員会では、沿岸漁業の問題点も議論されていますが、皆の苦情は解決困難で深刻です。だからといって、そのわずかな例が誇れないとは思いません。海外の人も、皆とても興味を持って聞いてくれます。また、日本の漁業を褒める=海外から学ぶ必要がないという論旨こそ、まさに不毛な二項対立を自ら行使していると思います。
 その点、朝日新聞9・14の社説は、(生態系破壊論はともかく)バランスが取れていたと思います。

Date: Fri, 5 Dec 2008 00:01:25 +0900

日本の沿岸漁業の資源管理事例で優良事例として取り上げられているものは・・・「水産業改良普及情報」というところhttp://www.fish-jfrca.jp/jf/kairyou.htmlに載っている。

ご教示ありがとうございます。たいへん参考になります。このような横の連携がどこまで図られているか(図られていないか)の憂いがありました。
 このような取り組みが沙汰闇になっているとすれば、それが最大の問題だと私は思います。端的に言えば、都道府県(の水産試験場)の有名人が1世代前に比べて見当たらないというのが問題だと思います。決していないわけではないが、つながりがない。1世代前の有名人のような雄弁な人がいないという時代的背景もあるかもしれませんが。ここを何とかしないといけません。
 今回教えていただいて、決して各人の個性だけでなく、それを支える取り組みそのものが消えているという気がしてきました。
 私も滋賀県に行くたびに西森克浩さんのさまざまな取り組みに感心していますが、それを知る人は全国にわずかだと思います。交流がないこと事態が問題で、彼も孤立し、ネットワークができていない。【ネットワークが】見えないというだけでは済まされないと私は思います【上記サイトには、滋賀県のセタシジミとニゴロブナの資源回復計画は載っていませんね=(08.12.27加筆)載っていました。H12-H18の全部を見ないとわからないですね。一目でわかる表がほしいですね】。

Date: Fri, 5 Dec 2008 08:52:15 +0900
 たしか、サクラエビ漁業【はプール制です】。プール制とITQは違う制度だと私は思います。が、【管理が必要だという漁業者の】意識「変化」が必要というのはその通りでしょうし、現に、若手でやり手の沿岸漁業の人々は、そのような意識を持っていると思います。しかし、それが漁協内部で声が出せない(我々に、ここだけの話にしてくれと頼むこともある)のが現状だと認識しています。
 【沿岸漁業であっても早取り競争の抑制が必要というのは】そうですね。視察して、何であんな小さな魚が市場に並ぶのかと思うことが始終あります。
 【ITQによって、漁業者は漁獲量から単価へと、関心が切り替わった。】しかし、単に単価だけでもいけないと思います。その辺も、やり手の漁業者(流通や魚河岸の人)もわかっていると思います。ITQだと、お金だけの話になりかねないし、NZはそんな気がしました。しかし、今【の日本の沖合漁業】よりはほとんどの場所でましだと思います。人は褒めて育てるものです。【重要:教育学では褒めるほうが叱るより有効というのが常識です。】
 【自主的IQやITQだけでなく、公的機関が役割を発揮すべきと】私もそう思います。しかし、逆に言えば、水産庁は漁業者に信用されていないということでしょう。信用されないお上が決めても、うまく行きません。Build trust−−これはSimon Levinの言葉です(気に入っています)。知床【世界遺産】では水産庁が逃げて、海域WGが間に入り、環境省主導で漁協の合意の下、海域管理計画を2年で作ってしまいました(IUCNがこんなに早く作るとは思わなかったといいました)

Date: Sun, 7 Dec 2008 13:09:16 +0900
 水産総研の「あり方(中間報告)」にでてくる Aグローバル競争、B生態的モザイク、C食糧安保 という3つのシナリオはよくできていますね。規制改革会議はAに近く(ただし、NZなどが先住民への配慮を別途やるが、規制改革会議はそれもない)、朝日の社説はBそのものといえましょう。【】もちろん、沖合いは欧米式のままでよいとは思いませんし、沿岸は現状でよいとも思いませんが。その具体的な詰めが重要と思います。