今年の高校野球は面白かった。決勝に進んだ興南と東海大相模は、ともにほぼ投手が一人だけで決勝まで投げきった。興南は準々決勝から先制点を許す展開で、島袋投手の疲労は限界に来ていたのだと思う。「肩は消耗品」といわれるプロ野球投手を目指すうえで、高校野球は多くの投手を潰してきた。なぜこんな過酷な大会を続けるのか?見ているほうは楽しい。やっているほうも人生経験としては得るものは多いだろう。しかし、それはやり方を工夫して損なわれるものだろうか。なぜ、決勝は一番暑い1時開始なのか?
W杯サッカーのように、準々決勝以後は3日ずつ試合間隔をあけてはどうか(夜はタイガースの試合を行う)。 あるいは、投手を1試合3イニングまでとする。 3人以上の投手が必要になるが、それは悪いことか。都市対抗野球のように、予選敗退した同じ県のチームからスカウトしても良い(そのほうが県代表として盛り上がるかもしれない)。
少なくとも、炎天下の甲子園ではなく、大阪ドームでやってはどうか。そのほうが、明らかに負担は少ないだろう。
高校野球はドル箱の収入源かもしれない。正論を唱えるはずの朝日新聞社が、少しの工夫もしないというのは残念だ。
それにしても、島袋投手には驚く。http://koshien.asahi.co.jp/で録画が見られることを知り、思わず見入ってしまった。特に準決勝の報徳学園戦。2回裏の3点打を浴びたとき。打たれた後で彼は笑っていた。真っ向勝負して「やられた」という苦笑に見えた。あの場面で、あの心境にどうしたらなれるのか。打った中島選手の集中力も良かった。かつての北島康介選手の目線と同じ勝負強さを感じた。そして、興南はその後5点差を本当に(ぎりぎりで)逆転した。この2回裏の録画は、何度見ても良い。
決勝は結果的には一方的に見えたが、4回裏に7点取れたのは紙一重だった。精神力の差が現れたといえるかもしれないが、流れが少し違えば、別の結果になっていたともいえるだろう。中途半端なスクイズ方針の後の適時打、スクイズを外したのに三塁に暴投したこと、その後歯止めが利かずに大量失点に結びついたこと。負けたチームの現役監督たちの生の解説は実に的確だ。それが、当事者の監督には手を打てなかった。この回の録画も、何度見ても良い。