気象学会の放射線大気予測自粛要請

Date: Sun, 3 Apr 2011 17:14:54 +0900
>生態リスクではないですが,情報統制が進んでいるようです.
>http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY201104020166.html
>気象学会理事長メッセージの全文は以下でお読み頂けます。
>http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj/others/News/message_110318.pdf
 問題は3つに分けて考えるべきだと思います。
1)結果として、放射性物質の飛散状況に関するRisk communicationがうまく行ったか
2)独自の予測を自粛しない場合、不確実性を説明することができるか。
3)今回の気象学会の3.18の呼びかけが、大学人への規制に該当するか。
 【(3)について】少なくとも、省庁の研究機関の研究者が受けている「規制」に比べて、今回のそれは質が違う(命令ではない)と思います。
 (2)について、 学会が自粛を呼びかけたことが妥当だったかどうかは、同時に(すでに【3月】18日には)流れていた海外の情報を前提に検討すべきだと思います。不確実性を説明することはできたと思いますし、むしろ、やらねばならないことだったと思います。海外では予測が示されていたのですから。しかし、それはまず当局が行うべきだったと私は思います。【】
 (1)結果としてRisk communicationがうまく行ったかといえば、残念ながらあまりうまくは行っていなかったと思います。海外で予測が流れ、ネットで日本人も見ることができることを考えれば、不確実性が高い段階でも、当局が早めに予測を公表したほうがよかったと私は思います。
 そして、当局が予測とその不確実性と海外の予測結果の意味を早めに説明していれば、わざわざ学会が自粛を求めなくてもよかったと思います。別の予測を出す人がいたとしても、大きな影響力は持たなかったでしょう。
 今回、海外で予測が出ているから自分もと考える学会員(専門家)はいたかもしれません。それは混乱するので、当局が予測を出すまで待ってほしいというお願いだったということでしょう。なぜ国内だけ情報がないのかという疑問は、私も持ちました。その当局による説明は十分でなかったと思います。
 それで、結局、当局による予測はどこに公表されているのでしたっけ? いまだに、海外の情報ばかり検索にかかるのですが。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の結果が一度だけ発表されたほか、 http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
昨日になって、このようなことが明らかになりました。
気象庁放射性物質の拡散予測 国内では公表せず
http://www.asahi.com/national/update/0404/TKY201104040357.html

Date: Tue, 5 Apr 2011 11:27:32 +0900
 政権である官房長官が出したほうが良いというのに気象庁が出さないというのは、よくわからない。職権で出せといえば出せるはずで、職権を行使しないならこんな談話はいらないのではないか。
 いずれにしても、今後いつまで放出が続くのかにかかっていると思います。大気については漸減傾向が続くでしょう。海洋についてはよくわからない。しかし、原発の専門家なら、(冷却水の量から)漏れ出すか放出するかにせよ、ある程度上限と下限の察しがつくかもしれない。
 また、実際の摂取量、被曝量と発ガンリスクの関係を踏まえたリスクコミュニケーションが重要でしょう。曝露モデルも大切ですが、地点ごとの大気、土壌のデータ、食品中の濃度はある程度わかっているので、あとは放射線医学総合研究所が主役となるように思います。
 大気濃度については、同心円でなく、北西だけは○kmが自主避難地域などと再設定できるのではないか。現時点ではそんなに不確実性は高くないように思います。
 近距離の人にとってどこまで危険かは累積被曝量のデータを(不確実性も含めて具体的に)示された後、発ガンリスクの専門家の判断に委ねられるはずです。
 冷却は必須だろうから、大気中濃度は今後も漸減し続け、海水中濃度は予断を許さないと思われます。
 原発からの距離により、大気、土壌、食物のどれが最も危険かが類別されると思います。それでも、○ヶ月は普通に暮らしていてもリスクは無視できるというような試算はできるのではないか(誰も言いませんが、避難所にいくストレス等のほうがはるかにリスクが高いのではないか)。より精緻には、引き続き計算し続けるしかないでしょう。
 【】累積被曝量○mSvで発ガン率が○%になるといった関係式があれば(どの核種とどの核種による被曝かについても、現在の放出量のデータから判定できると良い)、リスク評価ができると思います。 それがわかれば、素人でも、ある程度は見通しがつくのではないか。