ICRPの発癌率を疑う根拠とは

Date: Tue, 31 May 2011 09:44:55 +0900

おそらくはチェルノブイリ事故による死者として各組織や団体が報告している数字のばらつきが大きいこと(四千人〜数十万人)が問題なのだと思います。
既にご存じかもしれませんが、文部省が委託した財団法人放射線影響協会「原子力発電施設等放射線業務従業者等に係る疫学的調査」(平成22年3月)http://www.rea.or.jp/ire/pdf/report4.pdfというものを見つけました。内部被ばくも考慮した発がんリスク計算に使えるかもしれません。

 情報感謝。
 数十万人の根拠を知りませんが、どういう計算をしたのですかね。
 環境ネタでは、きわめて極端な意見が横行しますからね。水産では、Boris Wormが2006年に「2048年までに全水産資源の枯渇」を予測し、2009年に「世界の漁業の再建」を唱えた。前者を専門家と称する人が大真面目で支持していた(今もだが、Boris本人はとっくに転向している)。未実証の前提を使えばなんでもいえるということです。人がガンで死ぬ確率は3割程度。それがつくばあたりでは30.01%になるか、31%になるかということでしょう。31%説を統計学的に反証するのは難しいと思います。他の情報から判断するしかない。しかし、かりにそうだとしても、致命的な判断の間違いではないし、ガンで死んだときに因果関係は立証できないでしょう。もっと原発に近い人々にとっては問題ですが。
 それをどこまで信じるかは、科学者の見識でしょう。
 内部被曝も土壌も計算しました(http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2011/Radiationrisk.html)。最初の1週間くらいは、たしかに同じくらいですが、筑波では、外部被曝に比べて既にずっと低い値でした。
 すぐに判断できなかったのは私も同じですが、被曝量は1年間の累積が問題であり、原発近くを除けば、予防的にすぐに避難しなくても、情報を集めてから判断できる状態だったことは、前にも述べたとおりです。 筑波の年間被曝量は自然被曝が1mSv、原発による被曝が0.6mSv、茨城福島産の野菜や魚だけを食べた場合の追加被曝は1mSv程度でしょう。(食品は洗わないで食べれば、この値よりは多いでしょうが、移住するくらいならきちんと洗うか、外国産などを食べるでしょう)
 東京からも避難した人がいますが、東京の自然被曝と原発被曝を合わせても、筑波の自然被曝より少ないくらいです。もともと都会に住みたくない人が、移住する契機になったということでしょう。

Date: Wed, 1 Jun 2011 05:23:50 +0900

 ジャネット・シェルマン博士(元・アメリ原子力委員会勤務)はチェルノブイリ原発事故による死者数を(IAEAが発表したチェルノブイリフォーラムという調査書が数千人としているのに対し)98万5千人を主張している*
http://tajimaiclc.at.webry.info/201105/article_1.html
事故後に増加した死亡の原因としては、被曝以外にも、精神ストレスに起因する疾患(発がん含む)や、飲酒・喫煙の増加、移住に伴うストレスも挙げられるとされている。

 ありがとうございました。なるほど、非ガンリスク【や喫煙増加によるリスク】も含めるのですね。それならば避難民には高いリスクがあるでしょう。原発でなく、震災の被災者もそうでしょう。仕事をやめたり、移住したりすれば、さらに多くのストレスを得ることでしょう。1mSvくらいの地点からの移住は、発ガンリスクを避けているというよりは、別のリスクを高める行為とも言えるでしょう。
 その意味では、今の東電の対応は、周辺住民に安心を与えることができていないので、被曝だけでなく、まずいと思います。