放射線リスクを計算するサイト

Date: Sat, 14 May 2011 15:09:27 +0900
 3.11東日本大震災から2ヶ月経過し、かなりデータも蓄積されてきました。事故直後にはデータがなく、「基準値ぎりぎりの食品を摂取し続ける」などの前提でリスクが論じられてきたが、もはやそのような危険な状態にはありません。また、大気放射線量、土壌中濃度、飲用水や食品中の濃度は生データが公開されています。そこで、これらを用いて、地域別、個人別のリスクを自ら計算できるようなツールを作ってみました。
【5/24最新版はhttp://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2011/RadiationRisk.htmlに】
http://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2011/RadiationRisk.doc 説明文書
http://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2011/RadiationRisk.xls 計算ファイル
http://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2011/RadiationFoods.xls 食品データ
 内部被曝の評価手法がまだできていません(暫定的に大気からの外部被曝と同じと仮定((5/23:その後の計算で、少なくとも千葉市など離れたところでは、外部被曝よりはずっと低いことがわかりました)))。また、黄色い部分は特に、まだ異論があるかもしれません。
 私自身の現在の認識は、

  1. 飲用水、食品、土壌からの被曝量は、今後新たな水素爆発等による大量の放射性物質の放出がない限り、行政及び個人が注意すれば、かなり低い水準に抑えることができる。
  2. 海水中に汚染水が放出され続けているために、水産物が心配されるが、それは出荷制限が起きたり、広域に拡散するために産地を特定して対策が取れないといった水産業上の問題であり、摂取することによる健康リスクはきわめて低い。
  3. 土壌の経口摂取による被曝量は他の媒体に比べて桁違いに低い。
  4. 各媒体で事故から1ヶ月間の被曝量はそれ以後に比べて高い。しかし、セシウム半減期は長く、大気からの外部被曝量では最初の1ヶ月の被曝量は1年間の2割以下である。(内部被曝は少ないかもしれない)事故直後にその土地から離れていた人のリスクも、定住者に比べてずっと低いとはいえない。
  5. 福島県内などを除いて、大気からの被曝は食品からの被曝より少ない。食品からの被曝によるリスクは高いとは言えないが、これは福島県茨城県【の人】に限定されるものではなく、また県内でも個人の選択による避けることができる

 被曝量まではこのように計算できますが、被曝量と発ガンリスクの関係も、異説があります。【少なからぬ人】が、ECRRのサイトを引用してICRPは過小評価といっていますが、ECRRというのはEUの公的機関ではないのですね。
ご意見ありましたらよろしくお願いします