水産資源管理のあり方検討委員会

昨日、水産庁で水源管理のあり方検討会を傍聴してきたひとからの情報です。

議事録は後日出ると思いますので、私の印象に残ったことと感想だけ報告させていただきます。
当初、30人程度の傍聴を予定していたようですが、100人を超える傍聴者がいたため、会場も変更となりました。
それだけ水産資源やその資源管理に対する関心が高まっているということだと思いますが、事前にそれを想定できなかった水産庁は、やはり現場を知らないと感じてしまいました。
ただ、会議の中で、水産庁見解(おおむね水産資源は安定)と現場の感覚(資源は減っている)にずれがあることを勝川さんに指摘されたとき、「現場に赴いて話を聞く」と公式発言したことは、とても印象的でした。
また、このような会議を、公開で行うということを決めたことは、ものすごく良いことだと思いました。
全5回の会議が予定されていますが、原則公開予定だとのことです。
また、実際の漁業者などを会議に招聘し、話を聞くということにも前向きでした。
これらのことからは、日本の資源管理が前に進みそうな印象を受けました。
このほかに、八木信行さんの「漁獲量だけでなく漁獲金額を示したほうがよい」という発言が印象的でした。
勝川さんは、過去20年の漁獲量の増減で、高位・中位・低位を判断する日本のやり方に加えて、漁業がなかった時代の資源量に比べた現在量を出すこともやったほうがいいと提案されていまし
た。
いずれか一方でなく、使えるものは多いほど良い、というのが勝川さんの趣旨だったと思いますが、二者択一的な考えをする委員が多かったような気がします。
次回からは、個別の資源(スケトウダラ日本海系群・トラフグ・クロマグロ・サバ)について、議論が始まります。
これに合わせて、IQ導入についても検討されていくようです。
非常に興味深い会議なので、できるだけ傍聴参加したいと思います。

 漁獲量と漁獲高を同時に示すことは、知床世界遺産海域管理計画で私が提案し、採用されたことです(八木さんがそれをご存知かどうかは知りません。Matsuda H, Makino M, Sakurai Y (2009) Development of adaptive marine ecosystem management and co-management plan in Shiretoko World Natural Heritage Site. Biol Cons 142:1937-1942
 さて、沿岸零細漁業を一定守りながら、IQを含めた沖合漁業の資源管理を進めていく、南米型漁業制度に近いものをどこまでこの会議で議論できるかが鍵でしょう。沖合漁業のIQ導入は、Topdownか自主管理かは別にして、もう多くの人が賛成すると思います。