Date: Tue, 29 Nov 2005 22:58:17 +0900
海域WG各位 ○○さん、○○さん、デザイン素案をありがとうございました。○○さんのご意見を踏まえて、私見を述べます。
- 【】すでにIUCN評価書でもthe Multiple Use Integrated Marine Management Planという英訳で認知されたものですし、当時から実質的には海洋保護区に相当する内容を含んでいました。この名称を変えることはIUCNに対しては不要であり、漁業者に対しては反発を招くと思います。
- 水産資源を持続的に利用する場合には管理も必要ですし、その際に対象資源だけでなく、生態系への影響を考慮しつつ行うことは水産基本法第2条2にも書かれていると思いますので、「(1) 持続的な水産資源利用による安定的な漁業の営みと海洋生物や海洋生態系の保全の両立を目標とする。」という文言は、私はこれでよいと思います。【】このたたき台は「多利用型統合的海域管理計画について(2005年3月30日付け日本政府発世界遺産センター宛て回答書)」に基づいていると思います。【】問題がある点は今からでも改めるべきですが、重要でない点は踏まえたほうが漁業者もIUCNも納得していただけると思います。【】
- 「漁業関係法令、規則」だけでなく、「漁業ならびに国立公園・世界自然遺産に関係する法規など」が必要だと私も思います。生物多様性だけならば水産基本法第17条などを通じて漁業関連法規にも反映されていると思いますが、おそらく国立公園・世界自然遺産に関する法規は漁業関連法規にはかかれていないと思います。【】
- イ.サケ類(シロザケ、カラフトマス、サクラマス?)については、【】数年後に結論が出るような調査・検証計画を考えていただく必要があると思います。これはIUCNの要請だと思います。
- 海域管理計画に漁業者の自主管理措置を記述する点について、まだ整理できていないようですね。これは次の海域WGまでに明確にしておく必要があります。私は、①「海域管理計画の文責を行政(合同事務局)だけでなく、漁協にも入っていただき、自主管理の部分は彼らが自主的に決めた旨を明記」したほうがよいと科学委員会で申しました。【】私は上記①の案か、②「自主管理措置の内容を明文化した文書を別に作り、それを海域管理計画で引用する」のどちらかだと思います。ただし、専門家(社会科学者)の意見を聞いておきます。
- TAC設定による管理において「最大持続生産量を維持することが出来る漁獲可能量」を定めるとありますが、最大持続生産量(MSY)という概念はTAC法だけでなく国連海洋法条約に書かれていますが、これはTAC法に基づく生物学的許容漁獲量を定める国内の検討会(松田が参加【】)ではMSY概念は非実用的という意見が多数派です。世界遺産においてはなおさら、MSY概念にこだわる必要はないと思います。資源の非持続的利用を避け、過度の漁獲物の小型化、混獲や投棄など「責任ある漁業」に反する行為を避けることを明記すれば、それでよいと思います。(持続可能な漁業を、さらに控えろという意味ではありません)もっと単純な原理のほうが、漁業者が自主管理する上ではわかりやすいのではないですか。
- 【】私としては鳥獣の保護だけ特別視するよりは「4.生物多様性の保全」「5.海洋生態系の保全」に再構成したほうが自然だと思います。もちろん4には鳥獣の保全が含まれます。【】
- 「5生態系の保全」については、【】再検討が必要だと思います。【】
- レクリエーションについては「国立公園利用適正化委員会」の議論を共有して、こちらでも検討し、意見を述べるべきだと思います(先方の設置要綱第6条にもこちらと連携・協力すると書かれています)。この作業は1年以内にまとめるとは認識していません。よろしくご検討ください。的外れの点はご容赦ください。
水産基本法 第2条 2 水産物の供給に当たっては、水産資源が生態系の構成要素であり、限りあるものであることにかんがみ、その持続的な利用を確保するため、海洋法に関する国際連合条約の的確な実施を旨として水産資源の適切な保存及び管理が行われるとともに、環境との調和に配慮しつつ、水産動植物の増殖及び養殖が推進されなければならない。
第17条 国は、水産動植物の生育環境の保全及び改善を図るため、水質の保全、水産動植物の繁殖地の保護及び整備、森林の保全及び整備その他必要な施策を講ずるものとする。