シカ論争と予防原則

Date: Wed, 22 Feb 2006 16:58:40 +0900
○○様 c○○様
 了解しました。○○さんの主張も手元にありますので、○○さんの主張を拝読後、私の見解を寄せたいと思います。○○さんは、以前も放置した場合に何が起こるかについて懐疑的だったと思います。この議論は大切なので、建設的な解を探したいと思います。【】記事は書かせていただけるだけでたいへん光栄です。
 先日、外務省主催のシンポジウムで予防原則の二つの側面(自然再生事業指針)の例として知床世界遺産での論争を紹介しました。

  • シカ個体群が自然変動する動的な自然を守る点では合意
  • 現在の食害が不可逆的影響を植生に与えるかどうかは合意せず
  • その証明方法として花粉分析を行うことで合意
  • 予防原則に基づき、暫定的に不可逆的影響を避ける方法(捕獲)を科学委が採用
  • ただし、(1年間)地元で議論して合意を図る

という方法です。これはたいへん判りやすいと思いますし、捕鯨論者で予防原則に懐疑的な人々も納得したし、外国の予防原則専門家も褒めてくれました。
 昨年までは【地元】でのシカ捕獲は合意できないと言われましたが、科学委員会としての見識を示すことと彼らと対話することを示すと、相手も重く受け止めてくれたようです。時間はかかるかもしれませんが、1年で何らかの合意ができると楽観しています。【】
 知床と○○は事情が少し違いますが、合意形成のプロセスは共通すると思います。今 千歳空港で、これから知床に向かいます。