ヤクシカの個体群動態

Date: Tue, 4 Apr 2006 21:46:28 +0900
○○様 皆様 
 さて、「生命の島」【74】号が出たようですので、矢原、市川論争を続けたいと思います。(私の原稿はもう脱稿しましたが、次号に出ます)。市川さんにはいろいろ事前にご意見いただき、ありがとうございました。http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2006/yaku06.htmlに、私なりに論点をまとめました。
 また、http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2006/yaku06.xlsで個体群動態モデルを作りました。 このファイルの表1は「生命の島」次号に用いたもので、既にいただいた皆さんの情報から、表1(練習用)が最新版です。(このファイルは随時更新しますので、ご了承ください) 赤字の部分は確定した数字ではないので、自由に変えてみてよいと思います。
 この自然増加率、初期個体数に好きな数字を入れて、もっともらしい個体数変動になるようにしてみてください。意外と狭い筋書きでしか、現状を説明できないことがわかります。前提は以下の通り

  1. 1970年までに300頭程度の捕獲で激減(1962年の個体数の1/2以下、1/5以上と想定、それ以下に減ったら、100頭も取れないと思いました)と仮定
  2. 捕獲物と生息頭数の性比は無視した。(暗に、捕獲物と生息頭数の性比がほぼ等しいと仮定)
  3. 現在の個体数はせいぜい1万頭程度とする

 これから、

  • 自然増加率5%だとすると、半減するには初期個体数が1,900頭以下で、そうだとすれば今頃絶滅しているでしょう。 増加率8%、初期個体数1,500頭程度でないとつじつまが合いません。
  • 自然増加率13%だとすると、半減するには初期個体数1,300頭以下、それでも現在数千−1万頭に達する。

 さて、捕獲物の性比に偏り(おそらく、1960年代は雄が多く、現在は雌が多い?)があるとすれば、「雌雄別(案)」というワークシートのようになります。この場合にもっともらしい前提(初期個体数、繁殖率、親生存率)はまだ見つけていません。雄をとっても個体群は激減しません。雌が残っていれば、すぐに個体群は回復してしまいます。