知床岬の鹿捕獲目標について

Date: Wed, 2 Jul 2008 11:28:28 +0900 (JST)
シカWG各位
25日は欠席してごめんなさい。
改めて 資料2‐2知床岬越冬群の個体群動態予測 を拝見しました。
・H20 年は4 月上旬まで、流氷により船の航行が困難であったため、当初の予定よりも春期の捕獲実施が遅れる結果となった。
・海明け後の時間経過に伴い捕獲が難しくなっていくことが示された。
・設定する捕獲範囲を狭めずに捕獲を行うためには、人数を更に増やして互いの間隔を狭くした捕獲を行う必要があるものと考えられる。
・春期において落角したオス成獣とメス成獣との瞬時の識別が困難となり、誤認によるオス成獣捕獲が増えたことによる。
・捕獲を重ねることでシカ(特にメス)の警戒心が高まり次第に草原部へ出没しなくなったこと、積雪の減少によってシカの生息域が草原部から森林内へ拡散したことが考えられる。5 月に入るとさらにシカの捕獲頭数は減少した。前述の理由に加えて、出産を控えたメスが開放的環境に出没しなくなったことによると考えられる。
(感想) 船を使うことで、捕獲の時期が限られたことはかなり大きかったと思います。
 WG当日にどのような議論が行われたかを反映しないといけませんが、
・資料2−2にある自然増加率11%は低すぎる
・性比が雄:雌:幼=1:2:1から微妙に雌が多い程度で失敗するような計画では脆い。
・3年後の個体数半減は十分条件でなく、必要条件である。捕獲目標は上限でなく、下限である。
・600頭の中の雌半分(150頭)を獲ると言う初期の目標が、480頭の半分(120頭)になり、かつそれも実現できなかったが、それでも上記目標が達成できると言う見通しは、甘すぎる。「最も都合のよい想定でのみ成功する計画は失敗する。」
・死体回収を考慮した費用効果分析をやり直すべきである

 以上が25日より前のMLでの議論でした。
 結論から言うと、
・数値目標を達成するには、90頭という来期の捕獲目標は楽観的過ぎる(自然増加率と性比の問題)。確実に半減させるには、あと2年間120頭ずつ捕獲する必要がある。
・この目標を達成するには、流氷条件が有利になったとしても、現在の体制では不十分であり、狩猟者を増やすなどの工夫が必要である。
・この状況から見て、知床岬は密度操作実験の最適な場所とはいえない可能性がある。
 というのが私の主張です。
 WGでの意見はいかがでしたか?