アライグマは外来種問題なのか? への返答

Date: Wed, 1 Jun 2005 12:45:39 +0900

アライグマは外来種問題なのか、在来種にも共通する問題ではないか、在来生態系とは誰がどう定義するものなのでしょうか。外来生物問題は,自然保護の考え方とも密接にリンクするように思われます.

 一般論としては「在来種とは何か」という問題は考えるべきですが,アライグマについては防除の対象であり、ある地域から排除(根絶)させるべきでない生態系の構成要素となったとは、私も含めて、絶対多数の哺乳類学者は考えていないと思います。
 在来種だったら鳥獣保護法によって対策をとるものが,外来種だったら外来生物法によって対策を立てるというのがおかしなことでしょうか?鳥獣保護法は、根絶を目指すものではありません。外来生物法は、根絶を含めて防除を考えます。実際にアライグマに対して取る手段が増えすぎたシカと似たことになるとしても(私はそうは思っていません。少なくとも、アライグマの有効利用を永久に目指すことにはならないでしょう)、外来生物法で対策をとっていけないとは思いません。被害を減らすことは重要ですが,被害が減ればアライグマが増えてもよいとは思っていません。
 ご存知と思いますが、外来生物法は生態系等への影響への対策であり、「生態系等」とは生態系,人間への害,農林水産業への害です。したがって、生態系への害としてのみ取り締まるものではありません。クモ類などは、人間への害を根拠に特定外来生物に指定されています。