5.7横浜国大環境生態ゼミ

Date: Mon, 23 Apr 2007 12:14:42 +0900
下記のとおり、深見 理 氏による「島の生態系の改変:外来種が海鳥を捕食して起きる森と土壌の栄養カスケード」についての講演を行います。ふるってご参加ください。申し込み等は不要です。
○5月7日(月) 11:00〜12:00 環境生態ゼミ
○環境情報3号棟101室 交通案内
「島の生態系の改変:外来種が海鳥を捕食して起きる森と土壌の栄養カスケード」
(要旨)生態系の上位にいる捕食者は、食物連鎖をとおしてさまざまな栄養段階に属する生き物に影響をあたえることがある。とくに外来種が侵入先の生態系で上位をしめる場合、こういった「栄養カスケード」がしばしば起こることが知られている。しかし、その仕組み、とくに地上生物と土壌生物のあいだの相互関係が栄養カスケードによってどう変化するかについては、まだよく分かっていない。今回の講演では、この仕組みをさぐる試みとしてニュージーランドの島でおこなわれた研究を紹介する。これらの島では森林内で穴を掘って営巣する海鳥が多数生息し、その活動により大量の栄養塩が海から島へ運ばれている。しかしいったん外来種であるネズミが島に導入されると、ヒナや卵を捕食し、海鳥が激減することがわかっている。そこで、ネズミの侵入を受けた島と受けていない島、計18の島を比較したところ、ネズミがはいって海からの栄養塩供給が少なくなると、地上の植物現存量や栄養状態が変化し、土壌中の食物網に栄養カスケードがおき、全体として生態系機能に影響がでていることがわかった。つまり、外来種が海と陸のつながりを絶つことが引き金となって、島の生態系全体をゆらがす栄養カスケードがおきているのだ。現場からの写真を交えて紹介するこの実例をもとに、外来種が生態系に与える影響について広く議論したい。