素朴な疑問 Wildlife Managementの定義

Date: Mon, 11 Jan 2010 16:18:18 +0900
ご多忙中ごめんなさい。素朴な疑問です
野生動物保護管理 (Wildlife Management)の定義を見ると、多くは「持続的な利用のため・・・」などと書いてあるようです。たとえば宇都宮大のシラバスでは「野生鳥獣の保護管理(Wildlife Management)は、野生鳥獣を再生産可能な資源とみなし、私たちの特定の目的のために持続的に保全するために行なうものである」とあり、明確に資源管理です。生態学事典では「狩猟生物管理」と訳されている(書いたのは堀野さん)。
 多くの定義では、外来種アライグマの(罠による)防除はWMに含まれないのですか?
 三浦さんの本「野生動物の生態と・・・」P134では「野生動物管理」と訳していて、特に利用には言及していない(野生動物の生息地と個体群を管理することを通じて、野生動物の存続や保全、人間との軋轢の調整を目標とする学問)というから、アライグマも含まれるように思います。
 はて、どうしようか。三浦さんの上記の定義は少数派かな(私は支持しますが)。この定義で「保護管理」といったらいけない?言葉はもうこちらが行政用語で定着してしまっているのだが(私の趣味は「管理」だけなんだが)。

Date: Tue, 12 Jan 2010 10:55:49 +0900
皆様 ご多忙中、ご丁寧なお返事ありがとうございました。意を強くしました。
いま、Encyclopedia of biodiversity(Academic Press, 2001)をみたら、Wildlife management is the science of manipulating wild populations to achieve a specific goal と定義されています(David Saltz)。これは広くてよいですね(植物でもよさそう)。4つのMajorGoalsとして1)長期的収穫の最大化、2)絶滅を防ぐ 3)Wildlifeを含む生態系と景観の健全性の維持、4)野生動物による収穫物被害と軋轢を最小化し、生態系を以前の状態に戻すために野生動物を制御する としています。この人知らなかったが、しっかりしていますね。
 しかし多くの定義は旧態依然足るままですね。まだ、時代の変化に公式の定義が追いついていないという感じがします。下記も不十分ですね。
"The Encyclopedia of Ecology and Environmental Management"(Calow, P. ed. 1998, Blackwell)にあって,そこにはなんとも味気ないのですが,"Actions aimed at conserving indigenous wildlife"
 国際的にも、生物多様性条約COP10を機に、生態系サービス(これも20年たてば見直されるかもしれないが)を意識した定義に変えてもよいでしょう。国連海洋法条約でも、条文にMSYを達成するためと書いています。これはいかんとNYで話したことがあるけれど、対案を外交官たちに聞かれてうまく応えられなかった。その後に私が出した概念が最大持続生態系サービスです。まだ、こちらのほうがすっきりするでしょう。