自然保護の根拠

Date: Sun, 2 Jul 2006 06:03:08 +0900
皆様 米国から帰国後、深夜のワールドカップを見ていると、全く時差が直りません。
昨日の議論で言い足りなかったことを補足させていただきます。
 R.Axelrod著Harnessing Complexity に書いてある通り、複雑適応系を生かすにはいくつか方法がありますが、適応進化する能力を残すことが大切です。進化は単に歴史的価値ではなく、将来への能力として価値があると思います。
 なぜ生態系を守るのかという問いに対して、私は「生態系を一から作ることができないからだ」といいました。今の生態系を壊して、よりよい(人間にとって恵みの多い)生態系を作ることはほとんど不可能ということです。映りの悪いテレビに喩えました。素人では作り直すことはできないから、だましだまし使っていくしかない。映りがよくなる改変もあるでしょうが、壊してしまう可能性のほうが高い。 配線を変えるときは現状を覚えておいて少しずつ変え、元に戻せるようにして工夫する。一見不要と思われる部品だからといって、安易に捨てまくることはしないでしょう。
 今ある(今まで大体うまく行ってきた)生態系を大事にしたいということです。(その何がうまく行っているのか、よくわかっていない)もちろん、もっとうまく使いたいという試みは常にあると思います。そのすべてを禁ずるような保全は、誰もしていません。
 人と自然の持続可能な関係を維持するという価値が合意されていると思います。
 豊かな生物多様性は、先祖たちが持続可能な関係を維持してきたことの一つの証拠であり、それを現代に失うことは、持続可能でない関係を築いていることを示しています。
 というのが私の本日の主張です。