南半球のクロミンク鯨は減っているのか?

Date: Wed, 3 May 2006 16:42:03 +0900
 以下に感想を述べます。的外れかもしれませんが、勉強不足ゆえ、ご容赦ください。

  1. CPII(IWC科学委員会の2回目の南半球目視調査)76万頭(CV=0.094)に比べてCPIII(3回目の調査)が減っているらしいという推定結果【が出ていること】はわかりました。推定方法、調査デザインが変わっているので、CPIIの推定値も再検討すべきだとは思いますが。
  2. ただし、減少の幅が問題です。私の記憶よりCV(推定値の幅)が小さいように思います【】。この推定値あるいは減少幅の信憑性【については、いくつか問題があります】。しかし、RMPは推定値がでないと管理できないわけです【】。順応的管理(RMP)とは、不確実な情報でも管理できるということですから、得られた情報が不確実でも、その結果を拒むべきではありません。
  3. 問題は減ったとして、その理由です。400頭や800頭の調査捕鯨が減少の主要因だとは誰も言わないでしょう。それならば、減少したとしても、調査捕鯨の資源への影響はかなり小さいと考えるべきだと思います。RMS(改定管理方式)を妥結して、商業捕鯨を再開するならば、話は別です。その場合は、RMPを尊重し、たとえ捕獲枠が減ったとしても、議論を継続しつつ、減少幅の推定結果を受け入れるべきでしょう。RMSを合意しない反捕鯨団体の態度こそが、【問題】です。
  4. CC(環境収容力)をどう考えるか?捕獲によって減ったものではないとすれば、そして減っているとすれば、CPIIの水準(76万頭)を環境収容力とみなす理由はありません。CCについては全くの未知と言うことになります。20世紀初頭の個体数が20万頭と主張するならば、それをCCとしても良いでしょう【】(認識不足でしたらお許しください)。そもそも、CCが一定という仮定は既に時代遅れだと思います。CCは他種の資源量や海洋環境とともに変化すると考えるべきでしょう。しかし、現在のRMPはそれに対応していませんから、RMPの見直しが必要だと思います。
  5. CPⅡからCPⅢにかけて半減したということは生物学的に主張できない。半減したとすれば、大変なことが起きていることになります。
  6. 餌の総量も時代とともに変わっているはずです。【改定管理方式RMP】は、CCが一定であるという古い理論に基づいていると思います。【】