有識者委員会処世術道場(1)発言の論点

Date: Sat, 30 Jun 2007 09:21:54 +0900

そもそも、これは何についての議論なのか?

 ①バイオエタノールは、それ自体が「カーボンニュートラル」なのか? に関する議論だったと理解しています。CO2排出削減につながるとしても、それだけで「社会的に望ましい」とはいえません。それはより大局的な判断が必要であり、自然科学者だけでは判断できません。しかし、はたしてCO2排出削減につながっているのかという点については、科学的に議論でき、まさにそれを議論していたのだと理解しています。
 以下の皆さんの発言は、大変適切だと思います。これは多くの専門委員会で取るべき態度としても参考になります。

  1. 専門家として諮問された評価基準(CO2削減効果)に関して、まず見解を述べる
  2. より広い視野から判断されるために、エネルギー収支、生物多様性など別の基準も、それと明言して発言しています。諮問元がこれを「余計なこと」と考えることもあるかもしれませんが、より広い視野で判断すべきであり、評価基準を明記したうえで意見を述べるほうがよいと私は思います。
  3. 注意すべきなのは、賛否に関する個人的見解を述べるあまり、諮問された評価基準に関する見解なのか、そうでないかがわからないような意見を述べたり、別の評価基準に論点を勝手に移して議論することでしょう。

 ただ、これは私の意見であって、皆さんご意見がありましたらお願いします。いずれ、機会を見て、教員向けに「専門家委員会処世術道場」(仮称)を開催したいと思います。私が批判的に紹介した森田朗『会議の政治学』(慈学社)などを超えた、専門家としての見識を示すべきでしょう。(ちなみに私は、公表できる時期を待ってから、多くの私の発言を公表しています。これは説明責任であると同時に、世論喚起に有効だと思っています)