海洋基本法 フォローアップ研究会提言について

Date: Mon, 31 Dec 2007 09:07:13 +0900
フォローアップ委員会の提言を拝見しました。温暖化が基礎生産に与える影響も監視すると記した点は喜ばしいことです。また水産学会の提言や、松田の提言にある以下の2点については、反映していただいたことに感謝します。
7.利用と保全を併記し、海洋保護区に言及しています
9.海洋生物資源基礎調査については、ほかの基礎調査とともに重視する

 しかし、残念ながら下記7項目の記述が欠如または不十分だと思います。
1.海洋資源として水産資源を書いていますが、それよりずっと価値が高いことが生態学の定説になっている 生態系サービス(水産資源はその一部)に関する記述が全くありません。したがって、持続可能な漁業の担い手が海洋生態系を監視し、豊かな海洋環境が漁業を支えているという認識が記されていません。
3.「持続可能性」という環境政策上最も重要なキーワードがありません。海洋資源の特徴である共有資源を利用する際に重要な「公正」というキーワードもありません。さらに、水産資源の利用を我が国の食料基本政策として位置付けるという記述がありません。
8.陸域など他分野の環境科学・資源経済学に多くの貢献をした海洋科学の一層の促進を図るというような記述がありません。
5.国際交渉の場において、科学的見地から政府として統一的な行動を図ることの重要性が記されていません。(諸外国では、漁業と環境で矛盾した見解が述べられることが多々あります)
6.海洋担当大臣のもとに所轄官庁の連携を深めることの重要性が指摘されていません。
(少なくともここまでは、反映していただきたかったです)

4.水産物認証制度(エコラベル)の普及を図るという記述がありません
2.日本の漁業者が行ってきた漁業者組織の自主管理の成功例を世界に紹介し、その有効性を共有するという方針が示されていません

(参考)
日本水産学会(水産政策委員会)としては下記の提言を行っています
http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/COM/jsfs14.html

私個人としては下記の意見を水産政策委員会に述べました。http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2007/CommentsOnOceanLaw.html