水産学会が政策を取り扱うことについて(2)

Date: Sat, 5 Jul 2008 08:54:37 +0900
はい。【話題のカテゴリーで社会的に影響力の高い提案が掲載されることについては、】それで結構だと思います。それと論文は別です。
 もちろん、政策学の査読論文があることが、特に国際的に(あるいは価値観の異なる人々に)絶大な威力を発揮することがあります。
 下記の論文は、知床世界遺産ユネスコとIUCNに説明する上で威力を発揮したと思います。「規制なき海域管理」などと揶揄されていた知床を理解してもらうことは、この英語論文無しにはあり得なかったでしょう。
Makino M, Matsuda H, Sakurai Y (2008) Expanding Fisheries Co-management to Ecosystem-based management:A case in the Shiretoko World Natural Heritage area, Japan. Marine Policy in press:

知床世界遺産IUCN報告書
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/080605.html
(28)調査団は、知床世界遺産の保護について、特に2005年の世界遺産委員会とIUCN(国際自然保護連合)技術評価書からの勧告に対し、日本は良好な進捗を遂げている旨確認した。調査団は、特に(知床遺産の)全てのレベルの関係者が遺産の顕著で普遍的な価値を確実に維持し、次の世代へとそのままの形で引き継ごうとする強い責任感に感銘を受けた。これは、北海道知事、斜里町長、羅臼町長が2005年10月に署名した「世界の宝、しれとこ宣言」によくあらわれている(別添C参照)。また、調査団は、地域コミュニティや関係者の参画を通したボトムアップアプローチによる管理、科学委員会や個々の(具体的目的に沿った)ワーキンググループの設置を通して、科学的知識を遺産管理に効果的に応用していることを賞賛する。これらは、他の世界自然遺産地域の管理のための素晴らしいモデルを提示している。

Date: Sat, 5 Jul 2008 11:20:29 +0900

いわゆる学者だけの範囲の議論と、水産や漁業をどうするかが、融合していくことが望ましいと言う意見に対して

 それは当然です。一流の学者のほとんどは、そのようなこと【学会の社会的存在意義を主張し、外からどう評価されているか】に敏感だと私は思います。学術会議の場で他分野や社会と対話していれば、ある程度、それは自然に身につくことでしょう。
 それと、アカデミズムを守ることは別問題です。
 我々は査読論文(およびその内容)を書くことに存在意義があります。だからこそ、環境団体にできないことができるのです。