竹内久美子さんの随筆

 久々に国際線帰路の週刊誌で竹内久美子さんの随筆を読んだ。「動物行動学バラエティ」(週刊文春08.7.31号)だ。
 記事によると、人間の男性の性器はチンパンジーなどより大きい(これは周知)、しかし女性は大きな性器には関心がなく(男性ヌードを載せている女性週刊誌でも男性の尻を強調し、性器を強調していないというのがその一つの根拠らしい)、むしろ大きすぎるとマイナスが多いという。ではどうして大きな性器が進化したかといえば、他人の精子を掻き出すのに有効だという。その実証研究論文まで紹介している。たしかに寄生蜂では「掻き出し」は知られているが、一日に複数の男性と関係を持つのでない限り、人間ではほとんど効果はないと思う。
 彼女は以前から科学的に厳密とはいえない記事を書くとして行動学者の間では批判の的だったが、いつもこんな記事を書いているのか。よくネタが続くものだ。
 それにしても、女性雑誌が掲載する画像だけで女性の性淘汰の嗜好性を判断するのはいただけない。専門外だから科学的根拠はないが、確かに男性は視覚で興奮すると思うが、女性は雰囲気が大事ではないか。
 彼女の「師匠」に当たる日高敏隆さんの講演を聴いたことがある。蝶々の雄は色紙のモデルを雌と勘違いして交尾を試みる。しかし男子高校生も雑誌の女性の裸の写真を熱心に見ていたから、蝶々と変わらないといって会場を沸かせていた。師匠の冗談は下ネタでもずっと上品だと思う。